「防ぐ」事業で社会課題解決

――ESGの推進については、どのような観点で取り組まれていますか。

髙山 環境、社会、ガバナンスのすべてを重視することは当然ですが、特に重点的に取り組んでいるのは社会と関わる「S」の部分です。当社は、防火や防風、防水、防犯といった「防ぐ」ことを生業とし、安全安心を守る商品やサービスが社会課題解決に直結します。事業そのものの社会性が高く、必然的に「S」の比重が大きくなるのですが、そのなかでも注力しているのが人材育成です。

 建設業全体で人手不足や高齢化が深刻化するなか、人材確保と育成は喫緊の課題です。従来、新人教育はOJTに頼っていましたが、2019年度より営業、施工、製造、設計などを三和シヤッター工業では約2年間で習得する「プロ人材育成プラン」を導入しました。さらに、主軸のシャッターやドア以外の製品にも力を入れる「多品種化」を成長戦略としていますが、それに対応できる「多能工」の技術者の育成にも努めています。協力会社の施工技術者の教育も重視し、「施工研修センター」で技術指導を行っています。

――台風や地震など災害が増えていますが、メーカーとしてどのような製品開発に力を入れていますか。

髙山 2019年10月にも大きな台風が来て、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。当社の売上高4000億円のうち、災害から守る商品は868億円で全体の2割強を占めています。気候変動の影響もあり、特に需要が高まっているのは防水関連の製品です。当社はこの分野に力を入れ、業界に先駆けて開発した防水シャッターのほか、多様な製品を展開しています。

 建築基準法の改正により、2016年に防火設備(防火シャッター・防火ドア)の定期検査・報告が義務化されました。一方、昨今増えている大型の物流施設はこの法律の対象外で、大きな火災が起きています。こうした物流施設を含め、防火設備の点検の重要性が増している状況から、「Eコネクト」という商品を発売しました。通常、手動式シャッターの点検をする場合、降下の確認をした後の開放時には専門の技術者が必要になります。「Eコネクト」は簡単に電源供給できるシステムなので、お客様ご自身での自動開放が可能です。停電時の電動式シャッターにも利用できますから、災害時などにも役立ちます。

――業界内でいち早くグローバル化を進め、現在世界25の国と地域に拠点を有しています。多様な技術の集積が可能ですね。

髙山 1990年代後半からM&Aを行ってきましたが、そこで得たグローバルな技術を結集し、様々な製品の開発に着手しています。例えば、ヨーロッパは地球環境問題への対応や生産性向上への取り組みが非常に進んでいます。2003年に買収したドイツの老舗ドア・シャッターメーカーのノボフェルムも、設備投資による生産性の改善や、先進的な環境配慮商品やソリューションの提供などを行っています。グローバルで集積された技術やノウハウを他国の商品開発に活かすなど成果は出てきています。