聞き手/斎藤正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

経営者の信念と独創的な製品開発、「水・食・電気」の総合ソリューションでSDGsの実現を目指す。公的セクターとの緊密な連携も視野に、地域活性化にも取り組む。

――まずは創業の理念と事業概要について教えてください。

久宗 雅人(ひさむね・まさと)
テクノシステム 専務取締役
1961年神奈川県生まれ。上智大学経済学部卒業後、1985年三井物産入社。本店アセット・マネジメント部長、EMEA本部SVPを経て、2018年9月テクノシステム入社。2019年2月より現職(写真:村田和聡)

久宗 雅人 氏(以下、敬称略) 当社は2009年、創業者である生田尚之社長が、「オンリーワンの製品をもって世の中に貢献したい」という思いのもとに起業しました。近年は「SDGsテクノロジー開発創生企業」と再定義し、「水」「食」「電気」の3つのコア事業でSDGsに関連する総合ソリューションを提供しています。

 「水」では、海水などを淡水化して安全な飲み水に変える事業、「食」は無駄を排しつつおいしい食べ物を提供する事業、「電気」は太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの事業を、独自技術による製品開発で展開しています。売り上げは、2018年11月期の決算で約160億円。今期はさらに伸長し、最終的に170億〜180億円を見込んでいます。

――独自に開発された淡水化装置は、どのようなものですか。

久宗 海水、雨水、地下水、河川などの水を、純水に極めて近いところまで淡水化・浄化する装置です。大企業が比較的大型の淡水化プラントを手がけているのに対し、当社が開発製造しているのは小型装置です。水をろ過する前処理工程で用いるポンプ技術とセラミックフィルターの発明で特許を取り、これらの独自技術を用いています。低コストで安全かつおいしい水を、コンパクトに提供できるのが強みです。

 生田が開発した淡水化装置は当初、トラック搭載型の大きいものでした。ところが、東日本大震災で移動しやすいサイズが求められたことから、車載可能な小型化を進め、現地でライフライン支援に活用した経緯があります。その後、地震で道が寸断されると車が入れないケースもあるため、トランクサイズまで小型化し、2016年の熊本地震でも利用されました。

無電源状態の被災地などに駆けつけることができる車両搭載型海水淡水化装置
(写真提供:テクノシステム)
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多様な電源からバッテリーに蓄電して起動できる携帯型海水淡水化装置
(写真提供:テクノシステム)
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――「食」の分野では、独自のフードサーバーを開発しました。

幅広いメニューに対応する調理サーバー。衛生面や保存性に優れ、低コストでの店舗運営が可能
(写真提供:テクノシステム)
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久宗 当社が開発したフードサーバーは、和洋中の多彩なメニューをスピーディーに、かつ無駄を省いて提供できる装置です。例えば、レトルト食品を解凍してサーバーに入れれば、保温した状態で長時間おいしい料理を楽しめます。容器は密閉されており、人が手でかき回す必要がないので雑菌も入らず衛生的です。コンビニエンスストアやフードコート、ホテルなどで使われています。

 労働人口不足で食事を機械提供に代えていきたいという要望も増えており、さまざまな客層から引き合いがあります。最近では、美容と健康につながるおしゃれなコンセプトのフードサーバーも製品化し、新たな客層をつかんでいます。

――再生可能エネルギー事業についても説明をお願いします。

久宗 再生可能エネルギー事業は、2012年に固定価格買取制度(FIT)が開始されて以降、地球環境に優しいソリューションということで取り組みを始めました。これまでに太陽光発電パネルを通算容量で100MW以上設置しています。

 再生可能エネルギーをさらに世の中に広めていくため、このほど石垣島(沖縄県石垣市)で発電能力約550kWのバイオマス発電所建設計画をスタートさせました。バイオマス発電では、間伐材から作った木質チップを燃焼させて発電する事業も手がけています。

 石垣島に建設するのは牛糞をタンクに集めて発酵させ、そこから取り出したメタンガスを燃やして発電するものです。2020年8月の発電開始を予定しています。

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テクノシステムの再生可能エネルギー事業は、「太陽光発電」と「バイオマス発電」の2つに大別される。左は、群馬県高崎市の太陽光発電所。右は、新潟県新発田市のバイオマス発電所
(写真提供:テクノシステム)