聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

2018年に3社合併で新会社を始動し、ESGに絡んで意欲的な数値目標を打ち出した。社会貢献を追求する目線で若い世代のイノベーションを生み、ビジネス拡大を目指す。

――「ロッテノベーション」に代表されるイノベーションの価値についてどう考えていますか。

牛膓 栄一(ごちょう・えいいち)
ロッテ 代表取締役社長執行役員
1960年神奈川県生まれ。83年明治大学卒業後ロッテ入社。2008年ロッテ商事 営業統括部執行役員、15年同社常務取締役、同年ロッテホールディングス取締役(兼任)、16年ロッテ商事 代表取締役専務(兼任)、18年4月傘下の3社が合併し、新会社ロッテ代表取締役社長就任(写真:村田 和聡)

牛膓 栄一 氏(以下、敬称略) 2018年4月、創業70周年を機に、ホールディングス傘下にあった菓子・アイス製造、菓子販売、アイス販売の3社が合併し、改めて新会社としてスタートしました。当社は他の食品メーカーより歴史が浅く、創業時からイノベーションの精神で追いつき追い越せを目指してきました。その企業文化は新会社にも脈々と受け継がれています。

 ただ、従来は一人のカリスマオーナーの発想に頼るところが多く、社員全員にイノベーションの考えが根付いていたかと問われると、なかなかそうは言いきれません。時代が変わり、イノベーションを社員自ら起こしていかなければという考えに立ち、新たな価値創造と社会課題の解決に取り組むためにイノベーションを起こす姿勢を「ロッテノベーション」と名付け、推進しています。

――ESG中期目標でマテリアリティに対応する非財務の数値目標を掲げています。一方では菓子・アイス5ブランドの売り上げを300億円に高める計画を打ち出しました。商品開発とESGの非財務目標との関係をどう捉えていますか。

牛膓 イノベーションを起こすには若い世代の力を利用することが有効ですし、今の若い社員は、自社が社会に対しどのような貢献をしているかに深い関心を持っています。マテリアリティとして「食の安全・安心」「食と健康」「環境」「持続可能な調達」「従業員の能力発揮」の5つを定め、それぞれに非財務の数値目標を設定することで、社会に向けてのメッセージとして機能するだけでなく、若い世代のモチベーション向上にもつなげられます。

■ バリューチェーンにおけるロッテのマテリアリティマップ
出所:ロッテ
[クリックすると拡大した画像が開きます]

 さらに、5ブランドの商品開発チームに30代のリーダーと若手スタッフを入れ、多少の失敗は構わないのでとにかく挑戦できる環境を整備しました。300億円は高い目標ですが、当社のブランドが社会に貢献できるという目線が加われば、達成できる目標だと考えています。