聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

「ピープルビジネス」をキーワードに全国約2900店舗を構える。ESGとSDGsへの貢献を進めて、お客や地域、クルーに対する責任を果たす。

――病気の子どもが通院するときに家族とともに病院の近くに滞在できる施設、ドナルド・マクドナルド・ハウスを支援しています。この活動の意義をどう捉えていますか。

日色 保(ひいろ たもつ)
日本マクドナルド 代表取締役社長兼CEO
1965年愛知県生まれ。88年静岡大学人文学部卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソン入社。2012年同社代表取締役社長就任、18年日本マクドナルド上席執行役員チーフ・サポート・オフィサー就任、19年3月より現職(写真:木村 輝)

日色 保 氏(以下、敬称略) ドナルド・マクドナルド・ハウスの取り組みは、良き企業市民としての支援だと考えています。マクドナルドは外食産業として安全で美味しい食事をお客に提供することがまず第一ですが、約2900店舗で働くクルー(アルバイトスタッフ)への責任とともに、チャリティー活動などを通じて、地域社会へ貢献することも大切だと考えています。

――チャリティー活動を長期にわたり継続する秘訣は何ですか。

日色 最初のドナルド・マクドナルド・ハウスが日本に誕生してから19年目を迎えます。この間ハウスの数が増え、企業や個人の支援もいただくことができ、感謝しています。マクドナルドはファミリー層のお客に来ていただいているレストランなので、「ファミリーに対する責任を果たす」という、マクドナルドの強い理念が根付いていることが、長い間続けてこられた理由です。

――日本で活動を広げていくためには何が必要でしょうか。

ドナルド・マクドナルド・ハウスのチャリティサポーターSHELLYさん(左端)と日色社長も参加した東京・中野セントラルパーク店でのグローバルチャリティ活動「マックハッピーデー」(写真:木村 輝)
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日色 活動の認知度をいかに上げていくかが課題です。店舗でのキャンペーンイベントなどを行っていますが、多様な方法で丹念に継続的に進めていかないと認知度はなかなか上がりません。ドナルド・マクドナルド・ハウスの場合は個人のボランティアの方たちによる口コミでも認知度が高まっているのはありがたいことです。

――経営トップとしてESG経営をどのように推進されますか。

日色 会社の規模が大きく、ビジネス運営のプロセスで環境に負荷をかけているのであれば、重い責任を持ちます。持続可能な調達などサステナビリティー実現に向け、負荷の低減に取り組むことは大切だと考えています。ESGやSDGsに取り組むことで、マクドナルドで働いている約15万人のクルーから、「私たちの会社は正しいことをしている」という信頼感を得ることも大切です。

――SDGsへの取り組みの課題は何でしょうか

日色 環境への意識の高まりに より、これまでの取り組みが理解されやすくなっていることをうれしく思います。日本マクドナルドの食物残さのリサイクル率は業界でも高く、食品ロス削減についても業界全体で改善を図っています。最近ではフィレオフィッシュに使用するスケソウダラで、持続可能な漁業を認証する海のエコラベル「MSC認証」を取得しました。将来的にはテクノロジーを駆使して、資材配達などロジスティクス面でCO2を削減できる、効率の良い経路を割り出せるのではないかと考えています。