聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

基本理念に基づいたものとして、社会貢献活動や環境保護活動を続けてきた。実店舗を通じて顧客とコミュニケーションを深めながら、さらに活動を推し進めている。

――企業理念とESG・SDGsをどのように関連付けていますか。

三宅 香(みやけ・かおり)
イオン 執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当
1968年生まれ。91年イオン入社。2007年ブランディング部長、13年グループお客さまサービス部長、14年イオンリテール執行役員、15年同社広報部長などを経て、17年より現職(写真:大槻 純一)

三宅 香 氏(以下、敬称略) 基本理念で「お客さまを原点に平和を追求し、⼈間を尊重し、地域社会に貢献する」とうたっており、1990年代から環境や地域に貢献する活動を具現化しています。ESG・SDGsについては、その言葉が登場する、はるか以前から意識し実践してきたので、特に新しいことではないというのが正直な思いです。つまりESGやSDGsは、具体的に事業計画に組み込むというより、基本理念そのものとして事業のベースにあるものなのです。

 例えば持続可能な調達で言うと、そもそも認証商品の考え方を取り入れ始めたのが2000年代初期で、SDGsが登場する以前から活動を展開してきました。これはあくまでも基本理念に基づいて行っているのであり、ESGやSDGsを事業計画に落とし込むためにやっているわけではないのです。

――企業ガバナンスについても基本理念に根ざしているのでしょうか。

三宅 ガバナンスも全く同様です。03年に、委員会等設置会社(現・指名委員会等設置会社)に移行しましたが、これはESGという言葉が登場する以前のことです。世の中の要請があったわけではなく、あくまで基本理念に基づいた取り組みであると言えます。

 16年に「コーポレートガバナンス基本方針」を策定しましたが、これもESGやSDGsに照らして新しいことを書いているわけではなく、基本理念に、組織の目指すあり方を記したものだと捉えています。

――プラスチック削減に積極的に取り組んでいますね。

三宅 未来の持続可能な社会を考えたとき、今見直すべき象徴的存在の1つがプラスチックだと言えるでしょう。日本が欧米などと比べてプラスチックを過剰に使用していることは否めません。それを少しずつ変えていくために、できることは何かという視点で取り組んでいます。

 お客様との接点にいる企業ですから、「一緒に考えましょう」と直接お願いできる立場にあるのが強みです。過剰な使い捨て文化の中、一人ひとりが少しずつ改善に貢献できる取り組みとしてまず推進したのが、買い物袋持参によるレジ袋削減です。これを始めたのは1991年で、当時、まだ一般的ではありませんでした。率先して問題提起をし、コミュニケーションしながら少しずつ賛同者を増やしていく活動を20年近く続けてきました。この地道な活動の結果、レジ袋の無料配布を中止した店舗ではお客様の8割以上がマイバッグを持参するという今の状況につながっています。

 ここからがようやく第2ステージです。過剰包装と言える部分はまだ多く残っているので、今後も少しずつご理解をいただきながら進めていきたいと思います。