聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

2019年12月に新たにサステナビリティ方針を策定した。創業時から取り組んできた「ビール原料の育種」は気候変動や食品ロス対策にも役立っている。

――2019年12月「サステナビリティ方針」を策定しました。どのような狙いがありますか。

尾賀 真城(おが・まさき)
サッポロホールディングス 代表取締役社長
1982年慶応大学法学部卒業、同年サッポロビール入社。2009年執行役員北海道本部長、10年取締役兼常務執行役員、営業本部長、13年代表取締役社長、サッポロホールディングス取締役兼グループ執行役員、17年より現職(写真:大槻 純一)

尾賀 真城 氏(以下、敬称略) これまでのCSR、ESG経営での多岐にわたる取り組みを分かりやすく伝えつつ、SDGsの要素を含めた今後の方針として統合しました。「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」がキーフレーズですが、酒類・食品・飲料会社として自然の原料を使っており、生態系や環境と結びついていることが原点にあります。グループ全体で酒類・食品・飲料の他、不動産も手掛けており、不動産事業では、ビール工場跡地や銀座のビヤホールなど、歴史的遺産を活用したまちづくりを行っています。本社のある東京・恵比寿では緑豊かで広々とした空間づくりを、北海道・札幌では明治期からの産業遺産であるレンガの建物を残し、「サッポロビール博物館」として地域の皆様に親しまれています。これらの事業を通じて「サッポロらしさ」をさらに打ち出し、地域に貢献したいと考えています。

――こうした取り組みはブランド価値を上げることにもなりますね。

尾賀 消費者と接点の多い商品を扱っているので、原料や環境への取り組み、消費の場などを含めた広い意味でのブランドという位置付けで、お客様に信頼される企業でありたいと考えています。

■ 新たにサステナビリティ方針を表明
サッポログループは社会課題に対する事業を通じた取り組みを「サステナビリティ経営」として力強く推進するため、新たにサステナビリティ方針を策定した
(図版提供:サッポロホールディングス)
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――近年、環境変動が激しくなっていますが、どう対応していきますか。

尾賀 当社は従来より、環境への取り組みを進めてきました。原料は自然のものを使っていますし、麦の搾りかすを牛の飼料にするなど、工場から出る廃棄物は再資源化しています。ビンや樽は繰り返し再使用しています。しかし実際、ビールを運ぶためにはトラック輸送に頼らねばならず、CO2排出にも責任がありますし、生産過程では水資源を多く使い、プラスチックも使用します。

 この3つの問題は避けて通れません。これらの課題には、「環境ビジョン2050」を策定し、その実現を目指しています。CO2排出量ゼロを含めて、脱炭素、自然との共生など、これから力を入れていく課題に対し、若い社員たちも非常に前向きです。社内での議論が、今回のサステナビリティ方針にも盛り込まれています。