――環境変動への対応や新しい商品開発として「育種」への取り組みについて教えてください。

尾賀 創業時から育種に取り組んできました。北海道で創業したのも、ホップが自生しており、原料の供給地であることが大きかったからです。そこには、「原料が良くなければビールはおいしくない」という、ものづくりに対する根本的な考え方があります。良い大麦やホップを選別して育て、それを繰り返すことで、病害虫に強く、おいしくなります。ここまで原料に力を入れているビール会社は、世界でも当社の他にないと自負をしています。

 育種した原料を、どう育てて使うかも大切です。そこで「協働契約栽培」という仕組みを06年につくり、どこで誰が生産しているのか、どんな農薬を使っているかなどの情報を把握できるようにしました。育種、栽培、最終製品までをつなげることでおいしいビールができます。ヨーロッパ、北米、オセアニアなど大陸ごとに品種の供給地は異なりますが、持続的な原料調達を目指すとともに、味に特徴のある品種を育てることも可能になります。気候変動に対応可能な特性を持つ大麦やホップを開発していくことができます。

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ビールの品質を追求するため、創業時からビールの原料である大麦とホップの「育種」を続けている。そこで培った技術により、気候変動が原料調達に及ぼすリスクに対応している
(写真提供:サッポロホールディングス)

賞味期限も見直し

――食品ロスへの具体的な対策を教えてください。

尾賀 20年3月より、ビールの賞味期限を9カ月から12カ月に伸ばします。ビールを劣化させる酵素を持たないLOXレス大麦を開発する、生産工程で酸素に触れないフレッシュキープ製法にする、そして物流段階では定温で運んだり揺れを防止したりして劣化を防ぐなどの取り組みにより可能となりました。食品ロス削減という社会価値につなげていく観点は大切だと感じています。

――20年も「箱根駅伝」が注目を浴びました。

尾賀 33年間にわたり応援を続けています。学生さんのひたむきさと、企業としてのものづくりの姿勢が重なりますし、箱根(神奈川県)の街や自然を応援することで、今後も貢献し続けます。これからも、人々の笑顔のために、社会課題の解決につながる価値創造に取り組んでいきます。