日本企業の現状に危機感

――サステナビリティに関心を持ったきっかけは何ですか。

草野 大学でローマクラブの『成長の限界』を学びました。サークルを立ち上げ、洋服のリサイクルに取り組んでいた友人もいます。その頃から僕も持続可能な経済発展が頭に引っかかっていました。創業を決めた時、「何のためか」を突き詰めて考え、顧客企業のビジネス成功という短期的な目標の先に、世界のサステナビリティの実現があると思い至りました。そういう大きな目標に挑戦するからこそ、起業する価値があると考えたのです。

――ブレインパッドの事業内容を教えてください。

草野 手掛ける事業は3つあります。第1にアナリティクス事業。データサイエンティストが企業のデータ蓄積や活用のコンサルティングをするほか、AIなど先進技術を活用したシステムの提案を行います。第2がソリューション事業で、データを蓄積する環境を構築します。第3はマーケティングプラットフォーム事業。デジタルマーケティング領域の定形サービスをパッケージ化し、SaaS(サービスとしてのソフトウエア)形式で提供しています。

■ データ活用をトータルに支援するブレインパッドのビジネス領域
図版提供:ブレインパッド
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――業界内でデータサイエンティストは引く手あまたです。働く環境はどのように整えていますか。

草野 社内を活性化する仕組みをいろいろと取り入れています。例えば社員同士のコミュニケーション促進を目的とする「肉会」。ランダムに選んだ社員3人の食事費用として6000円を補助しています。7年ほど前、会社の急成長に伴い社員数が急増し社内コミュニケーションにやや問題を感じたのをきっかけに始めました。全く違う部署の社員と自然な形で知り合えると好評です。

 スキルアップのための支援もしています。例えば、業務に関する書籍購入費用は全額補助しています。不定期ですが、僕は「読書会」を主催しています。社員たちも自発的にさまざまな勉強会を催しています。

 変化の激しい業界の中で戦うには、モチベーションが高く、前向きに学び続ける姿勢を持つ社員の存在が不可欠です。社員が良いコンディションにあれば、お客様に提供するサービスの質も上がる。社員に魅力的な環境を提供できるよう、健全な利益成長を遂げたいと考えています。

――2013年にはデータサイエンティスト協会を立ち上げています。

草野 日本にはそもそも高度なIT人材が不足しています。データサイエンティストの定義もあいまいで、顧客が期待する仕事とのミスマッチが起きやすい状況でした。必要なスキルや知識を定義し、育成カリキュラムを作成することで、この新たな職種の健全な発展に貢献したいと考えました。政府の「AI戦略2019」に、データサイエンスやAIの基礎力を持つ人材を年間50万人輩出することが盛り込まれるなど、協会の活動は着実に成果を生んでいます。

――将来像を教えてください。

草野 2030年頃には社員数2000人ほどでデータ分析・活用による事業創造から現場の仕組み構築まで、一気通貫で提供できる会社になりたいですね。今はその基盤づくりの時期、引き続き人材の採用・育成に力を注ぎつつ、社会的なインパクトの大きい仕事を手掛けブランド確立に努めます。