聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

社会課題の解決へ金融事業とそれを超えてESG経営に取り組む。社員からもSDGs関連の取り組みアイデアを募り、4200もの案が集まった。

――SDGs推進アクションプランを2019年に発表しました。狙いは何ですか。

中田 誠司(なかた・せいじ)
大和証券グループ本社 代表執行役社長
1960年生まれ。東京都出身。83年早稲田大学政治経済学部卒業後、大和証券入社。2007年大和証券グループ本社執行役、16年大和証券グループ本社取締役兼代表執行役副社長、最高執行責任者(COO)、17年より大和証券グループ本社取締役兼代表執行役社長、最高経営責任者(CEO)に就任(写真:村田 和聡)

中田 誠司 氏(以下、敬称略) 15年にSDGsが国連で採択され、社会貢献と経済的価値を同期させる社会の流れが出てきました。社長になり、社会貢献と証券会社の仕事を結びつけて何かできないかと考えていたときに、08年に当時珍しかったワクチンボンドを発行し、1万件以上の応募があったのを思い出しました。

 私は営業職として債券、株式、投資信託を販売してきました。様々な形で資金需要に応えてきましたが、ワクチンボンドは医師を中心に明確に賛同を得た。SDGs目標達成のための資金調達など証券会社が役に立てることが多いのではないかと考えました。

――社員参加型でアクションプランを推進しています。

中田 SDGsの項目を、「ジブンゴト」として考えれば問題意識が出てくるはずです。日頃の業務の中で何ができるか社員からアイデアを募集したら4200以上も集まりました。ミレニアム世代(2000年代に成人になる世代)は報酬や出世より、社会貢献や自分の問題意識に取り組めることを重要視していますね。

――併せて、有志社員の意見を募ったそうですが、アイデアはどのように優先順位付けをしていますか。

中田 うなぎの養殖から子供食堂の事業化まで幅広い提案がありました。社会的価値と経済的価値の両面が大切です。ミャンマーのマイクロファイナンス事業やクラウドファンディングのプラットフォーム事業などすでに始めているものもあります。当社で手掛けている農業ビジネスや福祉財団もあるので、様々な取り組みができると考えています。

――金融の世界で市場を広げながら、SDGsの視点を含め農業や介護など関連事業も広げていくのですね。

中田 当社は工場を買って何かを作るようなことはしませんが、証券会社としてできることに取り組みます。例えば、フィンテックで誰でも資金調達ができる金融プラットフォームを作る、グリーンボンドやサステナビリティボンドを発行する、子供の貧困問題解決を支援する、地方創生や事業継承を応援するなどです。目指す事業については定量的なKPIを設け、2030年に向けて継続していきます。

――ご自身でも子供達の支援をされているそうですね。

中田 ご両親が亡くなられたり、親と離れて生活をしている子供達の施設が娘の幼稚園の横にあり、問題意識を持っていました。全国のNPOやNGOに少しでも支援ができないかという思いで「輝く未来へこども応援基金」を立ち上げました。

■ 持続可能な資金循環を生む“大和版SDGsバリューチェーン”の構築
資料提供:大和証券グループ本社
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