ESGステートメントを制定

――経済界では金融機関がESGの広がりを先導しているという印象があります。野村グループでもステートメントを制定されましたが、どのような狙いがあったのでしょうか。

後藤 野村グループは、1925年の設立以来、常に社会の発展に貢献することを心がけてきました。その根底にあるのは、創業者である野村徳七が定めた十カ条の「創業の精神」と、グループの企業理念に明記されている、金融資本市場を通じ豊かな社会の創造に貢献するという社会的使命です。こうした精神や使命に基づき、地球環境の保全や多様な人々の活躍の推進といった取り組みが、経済活動や社会の維持・発展に不可欠であることを意識しながら、金融商品の開発や金融サービスの提供、グローバル展開を進めてきました。

■ 野村グループの企業理念
出所:野村ホールディングス
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 さらに、取り組みを加速させるため、2019年1月に「野村グループESGステートメント」を制定しました。これは、ESGに関連する活動の方向性、及び環境や社会的リスクに対して当社がどのように対応していくかということをステークホルダーと共有し、持続可能な環境・社会の実現を一層推進していくことを目的としています。

 経済の血液ともいわれる金融は、良好な環境・社会の維持に貢献する資金の流れを生み出すことが可能です。グローバルな金融サービス・グループとして重要な役割を担う野村グループは、本業を通じて気候変動対策やイノベーションの創出、地域活性化などESGに関連する課題の解決を支援し、よりよい未来を切り拓いていく方針です。同時に、持続可能な社会を実現するにあたり、金融事業が様々な角度から貢献できることをより多くの方に知っていただくことが重要と考えています。

――温暖化対策支援プロジェクトの資金調達などを目的として、08年に世界銀行が初めて発行したグリーンボンドは今や日本にも定着しつつあります。金融機関としてどのような感触を得ていますか。

後藤 当初、お客様はコストなどを含めて、グリーンボンドにどのような意味があるのだろうと、慎重な態度を示していました。しかし、近年発行される数が急激に増えたことで、グリーンボンド活用の気運が高まってきています。日本でいえば国内事業会社による初のグリーンボンドは、野村證券が16年9月に主幹事を務めた、野村総合研究所のグリーンボンドです。野村グループでは、ESGに対して国内外の発行体及び投資家の関心が高まっていることを踏まえ、国内外にESG専任の担当者を配置し、債券の引き受け実績を積み上げてきました。

 国内においては19年の大林組や、鉄道・運輸機構のサステナビリティボンド、また清水建設や住宅金融支援機構のグリーンボンドなどを引き受けました。一方、海外においては、ドイツ北ライン・ウェストファーレン州(NRW州)発行のサステナビリティボンドなどを引き受けています。国内だけでなく、海外のチームも積極的に取り組み、それぞれのマーケットやビジネスシーンでの状況を共有し、よりよい情報や案件をお客様に届けられるように活動しています。

■ 国内のグリーンボンド発行額・件数の推移(年別)
※異なる通貨建ての債券については、条件決定日のブルームバーグ為替レート(引け値)に基づき換算
(データ提供:野村ホールディングス)
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