サステナブルファイナンス発展へ

――グリーンボンドやサステナビリティボンドに投資するメリットというのもありますね。

後藤 発行会社と同様に、投資によってサステナブルファイナンスを支援する姿勢を示すことで、社会的な支持の獲得を期待できると思います。

――野村グループでは、「ESG債市場の持続的発展に関する研究会」を設置したと伺いました。その重要テーマやポイントを教えてください。

後藤 近年、グローバル資本市場では、ESGの要素を考慮する投資概念の浸透、サステナブルファイナンスの拡大、企業に対する気候変動対応に関する情報開示の促進など様々な動向が見られます。気候変動が、インフラや公共施設などの適正化を含む政府や地方公共団体の財源調達に大きな影響を及ぼす可能性も生じています。

 こうしたサステナビリティをめぐる課題が注目を集める中で、投資家や企業、政府をはじめとする経済主体においては、金融・資本市場を通じた対応策を模索するニーズが一層高まっていくと考えられます。

 野村資本市場研究所は、このような社会の要請により、サステナビリティ関連リサーチを強化しており、研究員による研究論文の発行などに加え、18年2月から1年以上にわたって研究会を開催しました。高崎経済大学の水口剛先生に座長をお務めいただき、発行体や投資家の方々、評価会社などの発行関係者、学識経験者などをメンバーとしてお迎えしました。有識者の知見を基に、どのようにすれば市場が健全に発展していくのかをテーマに、様々な論点の洗い出しを行いました。

■ ESG市場の発展に向けたセミナー
ESG市場の意識醸成への取り組みとして、ステークホルダーに向けて2019年に開催したセミナーでの有識者によるパネルディスカッション風景
(画像提供:野村ホールディングス)
野村資本市場研究所の調査研究報告書と位置付けられる書籍『サステナブルファイナンスの時代 ESG/SDGsと債券市場』(画像提供:野村ホールディングス)

 研究会では、ほぼ毎月会合を持ち、サステナブルファイナンスの多面的な分析をはじめ、市場の発展の可能性、実務上の課題などについて議論を重ねていきました。その成果は、『サステナブルファイナンスの時代―ESG/SDGsと債券市場』という書籍に取りまとめ、19年6月に出版しました。

――19年12月には、「野村サステナビリティ研究センター」の発足も発表しました。

後藤 この研究センターは、野村資本市場研究所による研究に立脚しながら、金融・資本市場と密接なサステナビリティ関連のテーマの抽出やモニタリングを行い、情報発信や各種提言をはじめとする活動に取り組んでいくために設立しました。具体的には、野村グループ内外をつなぐオープン・プラットフォームを構築し、科学的な議論や影響を調査して、企業や投資家に提供していきます。学識者など外部アドバイザーと内部専門家が横断的に協働するとともに、海外関係機関との連携も進めていきます。

――債券のインデックスも公表されていますが、どのような将来像を描いているのでしょうか。

後藤 野村證券では、日本国内で発行された公募固定利付債券の流通市場全体の動向を表すために、1986年から国内債券指数NOMURA -BPI(当時、NRI-BPI)の公表を開始しました。以降、代表的なベンチマークとして長年利用されています。さらに、野村総合研究所とともにNOMURA-BPIの新たなサブインデックスの開発に向けた共同研究を行い、2019年11月12日より、債券指数「NOMURA-BPI SDGs」の公表を開始しました。

 NOMURA-BPI SDGsが、ベンチマークとして広く活用され、市場の活性化につながることを期待するとともに、今後も指数の開発や情報提供を通じて、日本における市場の発展をサポートしていきたいと考えています。