自らの商売に取り込む

――ESGやSDGsに対してはどのような考え方を持っていますか。

吉岡 私たちはメーカーと消費者をつなぐポジションにいます。全ステークホルダーに目を配り、社会課題に向き合いながら事業活動を進めることが使命だと思っています。代表例が10年から進めている「1box for 2 trees」プロジェクトです。コピー用紙を1箱販売するごとに2本の植林をサポート(確認)しています。森林をサステナブルにすることが、コピー用紙を最も多く売る会社の責任だと思います。

――その他に具体的な取り組みがあれば教えてください。

吉岡 継続的な活動の1つに、東日本大震災や西日本豪雨など被災地の子供たちを応援する「ASKUL Kodomo Art Project」があります。被災地で開催するワークショップで子供たちが描いた絵を紙コップ、ポケットティッシュなどの商品デザインに活用します。売り上げの3%を「アート使用料」として被災地の子供支援活動に役立ててもらう活動で累計4600万円を支援しています。

 東日本復興支援として、一部のメーカーと共同でオリジナルデザイン商品の売り上げの1%を使い、東北3県の教育関連施設に設備や教材備品を寄贈しています。農業高校向けに農業用実習機材など、現地の要望で選んでいます。こちらの寄贈額は9700万円を超えました。

■ 社会から信頼されるEC(電子商取引)を目指す、アスクルの取り組み
東日本復興支援として、震災被害を受けた教育関連施設に必要な設備・教材備品などを寄贈。被災地の教育の充実のために、支援を続けている。写真は福島県立相馬農業高校に寄付した農業実習用機材(キャリー動噴・運搬車など)。宮城県立高校や岩手県立高校への支援も行っている
アスクルロジストの福岡物流センターは障がい者を戦力化する方針で採用から育成までの仕組みを確立した。障がい者雇用率は17%を超えている。写真はピッキング作業をしている様子
(写真提供: アスクル)

――障がい者雇用でも先進的な取り組みをしていますね。

吉岡 子会社のアスクルロジストの福岡物流センターでは250人の従業員のうち知的障がいと精神障がいを持つ方が43人と雇用率で17%を超えています。障がい者雇用に取り組み始めたのは11年から、当初は定着しなかったため、12年からは障がい者支援という考えを捨て、戦力化するという方針を固め、採用から育成までの仕組みをつくってきました。

 入社前にインターンシップ期間を設けて適性を見極めたり、入社後に「コミュニケーションノート」で日々、本人や家族と密に連絡をとったりと体制を整えた結果、今ではピッキング、商品補充、梱包など幅広い業務で力を発揮してもらえるようになりました。福岡のノウハウを他の物流センターに横展開したところ、11カ所ある物流センターの障がい者雇用率は法定雇用率を大きく上回る3.7%に達しています。

 ESGについては、何か特別な新しい取り組みを始めるというより、私たちの商売の流れの中にSDGsの要素を組み込むことが大事だと思います。今後もこうした取り組みを進めていきたいと考えています。