聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

環境問題への対応を基軸にした中長期の戦略指針を発表した。化石燃料事業に偏らない持続可能な事業ポートフォリオを構築する。

平野 敦彦(ひらの・あつひこ)
出光興産 常務執行役員 経営企画・統合推進・渉外秘書担当(兼)Next事業室長
1962年生まれ、85年早稲田大学理工学部卒、昭和シェル石油入社。2013年専務執行役員、ソーラーフロンティア取締役副社長、14年ソーラーフロンティア代表取締役社長、17年一般社団法人太陽光発電協会代表理事を経て、19年より昭和シェル石油と出光興産との統合新社、出光興産(出光昭和シェル)常務執行役員に就任(写真:村田 和聡)

――中期経営計画は「共創」がテーマです。2019年に昭和シェル石油と出光興産が経営統合しましたが、新社の経営理念を表していますか。

平野 敦彦 氏(以下、敬称略) 統合新社として初めての中期経営計画であり、先行きが不透明な世の中でビジネスを創生して社会に貢献していく決意を表しました。海外拠点は42カ国、事業領域も多岐にわたりますが、多様性に富む社員やパートナーとの力をかけ合わせることで、新しい力を発揮できると考えています。中期経営計画事業はパリ協定の「2050年までに世界でCO2排出量を実質ゼロにする」という目標を見据えて事業環境を想定したうえで、取り組みを考えました。

――ESG経営の視点がどう盛り込まれているのか教えてください。

平野 2つ大きな柱を立てています。レジリエントな事業構造にしていくこと、そして社会の要請に適応したビジネスプラットフォームを構築することです。まず50年の事業環境を予測するうえで、「環境対応は世界的にどのくらい進んでいるか」を基軸に4つのシナリオを考えました。

 石油需要がこれまで通り増大するシナリオではなく、「脱炭素化に向けてより強い環境対応が求められる」という未来を想定することで、化石燃料事業への過度な依存を下げ、当社が持続的に発展できるポートフォリオに組み替えていくことが必要になるでしょう。

――化石燃料事業が全体の利益に占める割合はどれくらいですか。

平野 燃料油の精製販売、石油開発、石炭事業の3つを合わせた営業利益の比率は6割ですが、これを30年までに5割未満にする計画です。ほかの成長事業や次世代事業の基盤を育て、比率を変化させたいと考えています。