BCPに貢献するVSUプラント

――地域という観点で言えば、高効率小型液化酸素・窒素製造装置「VSU」の貢献度は大きいですね。

豊田 産業ガスの地産地消で安定供給、省エネ、環境貢献を実現するのがVSU戦略です。従来の大型プラントで大量集中生産するのではなく、全国各地にいるお客様の近くに小型で高効率の産業用・医療用ガスの製造装置を設置します。全国で18基設置済みで、1基が建設中です。将来的には25基ぐらいまで増やす予定です。

 需要地に近いところに製造装置を設置すれば物流が合理化できるメリットがあり、大規模災害時でも産業ガス・医療用ガスが安定供給できる製造・供給ネットワークを構築しているので、お客様のBCP(事業継続計画)に貢献できます。

 14年に記録的な大雪に見舞われた松本市では、それが生かされました。私もたまたま松本にいたのですが、3日間、ホテルに缶詰状態になりました。しかし、松本市にVSUがあったことから近隣にガスを供給できました。それがご縁で、お客様が弊社のガスに切り替えてくださることもありました。

――電力多消費産業としてCO2排出総量削減のKPI設定や、バイオマス発電事業にも取り組んでいますね。

豊田 中期経営計画「NEXT-2020 Final」の中でCO2排出量を、13年度に比べて21年度に6%、30年度に15%削減する目標を定めました。

 山口県の防府バイオマス・石炭混焼発電所が19年7月に営業運転を始めました。間伐材やパーム椰子の殻を使った木質バイオマスを燃料として最大50%ほど利用し、年間約8億kWhの発電を予定しています。

――エア・ウォーターはカンパニー制と地域事業会社が並存するユニークな存在ですが、それがうまく続いている要因はどこにありますか。

豊田 これはと思う事業をやるときには、それにふさわしい人材をつけることです。最近、地域の事業会社でも有能な人材がいたらエア・ウォーターの社員になれるような仕組みに人事制度を改定しました。

 成長するには、臆せず人に会い、目上の方をはじめいろんな人から学ぶことが大切です。その際、「謙虚さと勤勉さ」が必要であり、また「カン(第六感)と観(観察)」が大切だと私も人から学びました。

 SDGsを指針に「地球にかかわる事業の創造」を経営理念に掲げ、地域とともに歩んでいく会社になりたいと思っています。