聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

2018年7月にESG部門を立ち上げ、19年4月にはESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を策定。人や社会、地球に配慮した19のアクションを定めて、「変化を先導する企業」を目指す。

――ESG視点を経営に反映させるように大きくかじを切りましたが、その背景と狙いについて教えてください。

澤田 道隆(さわだ・みちたか)
花王 代表取締役 社長 執行役員
1955年生まれ、大阪府出身。81年大阪大学大学院工学研究科修了後、花王に入社。2006年に執行役員 研究開発部門副統括に就任、08年取締役、12年に代表取締役社長執行役員(現職)、研究所長時代、ベビー用紙おむつ「メリーズ」の再生を指揮(写真:村田 和聡)

澤田 道隆 氏(以下、敬称略) 売り上げ・利益を中心とした企業業績はもちろん重要ですが、それにプラスして「人、社会、地球」にどう貢献できるか、すなわち企業価値を重視する会社に進もうと社長に就任した時から考えていました。

 私たちの企業理念は、生活者の視点に立ったよきモノづくりを通して、世界の人々の喜びと満足のある豊かな生活文化の実現と、社会の持続可能性に貢献することを使命としています。この使命を忠実に実行するためには、売り上げ・利益を追求するだけではなく、ESG視点を盛り込んだ経営が必要だと考えています。

 2017年に「自ら変わり、そして変化を先導する企業へ」をスローガンに掲げ、4カ年の中期経営計画「K20」をスタートさせました。18年7月にはESG視点での「よきモノづくり」を本格化するためESG部門を直轄に置き、19年4月にESG戦略を策定しました。

――ESG経営のポイントはどこにあるとお考えですか。

澤田 一番重要なのは、私たちが独りよがりにならないように第三者の視点を入れて、きちんと確認しながら進むことです。そのためにはガバナンスを効かせることが大切です。

 社長になって2年後の14年に取締役の人数を絞り込み、社内外の取締役をそれぞれ3人ずつにしました。当時ESGという言葉はまだ一般的ではなく、「サステナビリティ・プラス・ガバナンス」だと考えていて、その狙いは取締役会をコンパクトにしてしっかり議論することでした。

――ESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」の目的と概要を教えてください。

澤田 日本語の「きれい」という言葉は、「美しさ」や「清潔」という意味だけではなく、心の状態や生きる姿勢も表していますよね。それが社会の「きれい」にもつながっていくと私たちは考えています。

 消費者がこうありたいと願う暮らしを「Kirei Lifestyle」としそれを実現するため、花王らしいESG戦略を具現化した「Kirei Lifestyle Plan」を策定しました。ビジョンと、人・社会・地球についての3つのコミットメント、そして重点取り組みテーマである19のアクションから構成されています。それぞれのアクションに細かくKPIを設定し、30年までの達成を目指します。早い段階で達成できれば、さらに高い目標に向かって進んでいきます。こうした目標とその達成については決算発表の時にお話したいと考えています。私たちは財務と非財務の情報をセットで重視していきます。

■ 花王のESG戦略のコミットメント(抜粋版)
図版提供:花王
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