イノベーションでより高みを追求

――「よきモノづくり」を推進するにあたり、イノベーションを重視されています。

澤田 よきモノづくりにおいて、エシカルな視点を少し入れるぐらいでは不十分です。より高いレベルを追求することが必要で、それにはイノベーションが伴わなければなりません。

 プラスチックごみと脱炭素が大きな問題になっています。どちらもリデュースイノベーションと同時に、リサイクルイノベーションが必要だと考えて取り組んでいます。海洋プラスチックごみについては、使用するプラスチックの削減や代替素材の開発に向けて、「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」の会長としても、関係事業者との連携を強化しています。

 花王はソーシャルイノベーションにも取り組んでいます。肌表面に極細繊維による薄膜を直接形成するFine Fiber技術を開発し、その応用製品を化粧品(スキンケア)領域より19年12月に発売しました。今後自社の技術を、我々の理念を追求する上での強みと捉え、医療・治療の分野へ展開したいと考えています。

 最近はオープンイノベーションが重要になっています。新技術を開発したら、その出口を広げるため製品化する前に、技術をオープンにする。すると自分たちだけでは思いつかなかった使い道などのアイデアがいっぱい出てくるんですね。

――ESG経営における人材育成のあり方について聞かせてください。

澤田 人は無限の可能性を持っている。これを信じることが重要です。人は育てるものではなく、育つもの。その人を理解し認めてやれば、みんな頑張りますよ。

 マネジャーはメンバーの可能性を引き出して組織のパワーとして生かすことが大切です。その上でESG経営は横串となって、個々の意識向上につながると考えています。