聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

事業を通じSDGsの目標達成に貢献することを長期ビジョンで掲げる。レジリエントな社会、インクルーシブな社会、サステナブルな社会の実現に向けて動く。

――長期ビジョンで2030年に目指す姿として掲げた「スマートイノベーションカンパニー」の意味は何でしょうか。

井上 和幸(いのうえ・かずゆき)
清水建設 代表取締役社長
1956年東京都生まれ。81年早大大学院理工学研究科建設工学修了、清水建設入社。2013 年執行役員、14年常務執行役員、15年4月専務執行役員、同年6月取締役、16年4月より現職(写真:村田 和聡)

井上 和幸 氏(以下、敬称略) 長い間、工事請負を中心として事業を展開してきた建設会社には、まさにイノベーション、変革が必要です。長期ビジョン策定時の議論の中で、お客様に付加価値の高いサービスを提供していくためには、自分自身の変革が欠かせない、という考えが自然と出てきました。それをできる企業がスマートイノベーションカンパニーです。建設事業の枠を超えた自己変革と挑戦、多様なパートナーとの共創を通じ、時代を先取りする価値を創造し、持続可能な未来社会の実現に貢献できる企業と定義しています。

――ビジョンの柱は事業構造、技術、人材のイノベーションですか。

井上 そうです。イノベーションを起こすには、掛け声だけでは不十分で、仕掛けが必要です。その第一歩が東京都江東区に建設するイノベーションセンターです。

 ロボットやAIの研究施設、体験型の研修施設、オープンイノベーションを促す機能を備えた本館、歴史資料館などを含む延べ2万m2の施設となります。歴史資料館には、近代建築や建設産業における当社、ひいては日本の挑戦の歴史を語る上で欠かせない貴重な資料、まさに当社のお宝ですが、それらを展示します。社員がそこから学び刺激を受けることがイノベーションにつながると考えています。外部にも公開予定でいます。また、当社が長きにわたり経営のご指導を仰いだ渋沢栄一翁の邸宅も青森県から移築します。2代当主の清水喜助が手掛けた建物で、唯一現存する貴重な文化資料です。

■ 清水建設が経営指導を仰いだ渋沢栄一氏の邸宅
東京都江東区に建設するイノベーションセンターの敷地に青森県から移築する渋沢栄一氏の邸宅「旧渋沢邸」
(出所:清水建設/撮影:NARU 建築写真事務所 中塚雅晴)
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