ESGに通じる渋沢氏の教え

――渋沢栄一氏の教え『論語と算盤』を社是にされました。

井上 道徳と経済の合一を旨とする教えで、当社の創業の精神と重なり、長い間、経営の基本理念としてきました。ESGやSDGsにも通じます。渋沢翁は創業の精神を言葉にしてくれた大恩人でもあります。

――どのような社会的課題の解決を目指していますか。

井上 長期ビジョンでは、レジリエント、インクルーシブ、サステナブルな社会の実現に貢献していくことを掲げました。レジリエントな社会の実現に向けては、自然災害に強い建物や強固なインフラづくりを進めることが、建設業としての社会的使命と考えています。2019年の台風や豪雨のように想定を超える規模の災害は今後も起こりうるからです。また、年齢や障害の有無にかかわりなく、誰もがいきいきと働けるインクルーシブな社会を実現したいと考えています。

 そのような思いがあり、東京2020の支援を通じ、特にパラリンピックスポーツの普及に力を入れています。さらにサステナブルな社会の実現に向け、再生可能エネルギーの生産・活用にも積極的に取り組んでいます。社会的課題の解決に向け建設業の立場から様々に貢献していきたいですね。

――気候変動対策については、どのようにお考えでしょうか。

井上 CO2削減について、2030年、50年目標を定めています。自ら現場やオフィスでバイオ燃料、再エネ電力や水素などクリーンエネルギーを使用することはもちろん、建物のZEB(ゼロエネルギービル)化やエネルギーを効率的にコントロールするシステムなどの開発に取り組んでいます。

 山梨県の八ヶ岳南麓に建設した「生長の家“森の中のオフィス”」では、自然エネルギーを活用した省エネ、太陽光発電・木質バイオマス発電、マイクログリッドなどにより、日本初のZEBを実現しました。我々の技術で気候変動を少しでも抑えられればいいですね。

――ESG、SDGsに今後どのように取り組みますか。

井上 中期経営計画では、「ESG経営の推進により、シミズグループの企業価値向上を実現し、SDGsの達成に貢献する」ことをうたっています。E、S、Gそれぞれに23年度までの数値目標(非財務KPI)も設定しました。

 今後もESG経営を基盤に据え、長期ビジョンで掲げた3つの社会の実現を目指すことで、企業価値の向上とSDGsへの貢献を目指します。まさに『論語と算盤』の理念にも通じるものと確信しています。