聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

帝人は2月に2020~22年度を対象とする新たな中期経営計画を発表した。「環境価値」「安心・安全・防災」「少子高齢化・健康志向」の3つのソリューション拡大を目指す。

――新たに策定した2020~22年度の中期経営計画でESGやSDGsをどう位置づけていますか。

鈴木 純(すずき・じゅん)
帝人 代表取締役社長執行役員 CEO
1958年東京都生まれ、83年東京大学大学院理学系研究科動物学 専攻修士課程修了。同年帝人に入社。2011年帝人グループ駐欧州総代表兼Teijin Holdings Netherlands B.V.社長に就任。12年帝人グループ執行役員、13年帝人取締役常務執行役員を経て14年4月より現職(写真:村田 和聡)

鈴木 純 氏(以下、敬称略) 今、企業には社会課題に向き合い解決しながら価値を提供することが求められています。それができなければ企業の存続自体が危ぶまれると考えています。帝人はマテリアル、ヘルスケア、ITという3つの事業分野を持っています。我々ができることとSDGsとの交点でビジネスを広げていく方針です。

 17~19年度の前中期経営計画では長期ビジョンとして「未来の社会を支える会社」を掲げ、注力すべき重点領域に「環境価値ソリューション」「安心・安全・防災ソリューション」「少子高齢化・健康志向ソリューション」を設定しました。新しい中計でもこの方針は変えていません。今回の中計では特に環境負荷低減に向けた取り組みを加速すること、イノベーション創出を加速することを打ち出し、新たに30年をゴールとする目標を設定しました。

重点事業を2つに分解

――3つのソリューションを拡大するためにどんな施策を打ちますか。

鈴木 経営資源を思い切って投入していきます。重点投資が必要な事業を明確にするため、手掛ける事業を大きく2つに分け、社会課題を解決しながら既に収益を上げている事業を「Profitable Growth」、将来の収益獲得のために注力が必要な事業を「Strategic Focus」と定義づけています。

 例えば、マテリアル事業の中で光ファイバーや車のタイヤに使うアラミド繊維は「Profitable Growth」。炭素繊維のうち原糸は「Profitable Growth」とする一方で、自動車の軽量化を実現する熱可塑性炭素繊維複合材料や航空機の炭素繊維中間材料は「Strategic Focus」としました。

 ヘルスケア事業では在宅医療機器や医薬品は「Profitable Growth」、埋め込み型の医療機器や新たに手掛けているスーパー大麦「バーリーマックス」のような食品素材事業は「Strategic Focus」に入れています。「Strategic Focus」に積極的に資源投入することで、持続可能な社会の実現に貢献する高付加価値な製品・サービスを一層広げたいと考えています。

■ 長期ビジョン: 3つのソリューションで 「未来の社会を支える会社」 に
出所:帝人
[クリックすると拡大した画像が開きます]