コロナ感染症対策で反省

――ほかにも、C“ESG”Oの取り組みで印象的なことはありましたか。

門田 ESGは大きく見ればリスク管理です。C“ESG”Oの仕事にはリスクマネジメントも含まれているので、今回の新型コロナウイルス感染症の対策にも取り組んでいます。

 2020年1月には中国に緊急対策本部を設置し、その後、アジア全域、欧州、米国と広げて、今は全世界に緊急対策本部を備える体制となりました。地域統括会社の社長を対策本部長に任命して、そこから送られてくる情報をホールディングスの緊急対策本部でまとめ、毎日アップデートして、グループ全体で共有しています。日本では2月に入ってすぐに在宅勤務の奨励や海外出張の禁止も始めました。

――かなり迅速な対応ができたわけですね。

「サスペンションからエンゲージメントへ」
(写真:山田 哲也)

門田 とはいえ、決して満足はしていません。普段からリスクマネジメントには様々な方面で取り組んできました。「感染症」というリスクも挙げてはいましたが、これほどまでのパンデミックになり、しかも、様々な領域に影響するというリスクの深読みは難しかったといえます。見えていないリスクへの対策が弱かったと反省しています。

 清水社長は、「どんなリスクがあるのか、分かっていないことが最大のリスクだ」とよく言います。「こういうリスクもあり得る」と想定していれば対応のしようもありますが、分かっていなければ対応のしようがない。

 「当社のリスクは当社が一番知っている」と思っていましたが、いろいろなところから情報を得ていなければ、今回のリスクには対応できなかった。そのため、他社のリスクマネジメントがどうなっているのか、世の中の動きはどうかなどを、常にウオッチしています。

 社内の人材だけでリスク管理の穴は見つけにくい。社外の意見をどう取り入れていくかは重要です。不二製油プロパー社員ではない、他社で経験を積んできた人は、違った角度からの物の見方をすることがあります。そういう人たちの意見を取り入れる環境をつくっていかなければならないと思っています。

――「環境ビジョン2030」についてお聞かせください。

門田 もともと1997年に定められた京都議定書を意識してつくった「環境ビジョン2020」がありました。しかし海外の目標は2年前にほぼ達成してしまった。そこで「この先をどうするか」を考えて、2015年に合意されたパリ協定に合わせて、18年、新しいものにつくり直しました。それが「環境ビジョン2030」です。

――パリ協定に合わせたということは、「産業革命以前に比べて世界の平均気温上昇が2度を十分に下回る水準に抑えるための温室効果ガスの削減」を目標としたのでしょうか。

門田 はい。いわゆる「Well Below 2℃」です。当グループでは16年を基準年として、30年ターゲットに排出総量40%削減を目標にしました。SBTイニシアチブへのプレリミナリー申請が通り、20年3月31日に正式に承認されました。ただ、当社の長期計画では、30年に生産量が現在の倍になっていますので、いま実際に排出している量以上に削減しないと目標に達しません。

――それほどの高いハードルを越えるために、どのような取り組みをしているのでしょうか。

門田 再生可能エネルギーをどんどん増やしていきます。太陽光も相当取り入れていますし、東南アジアには、我々のパートナーが搾油した油のカスをボイラーで燃やすバイオマス・エネルギーの企業が2社あります。

 商品のポートフォリオの再構築も考えています。たとえば、ある製品を乾燥するために相当なエネルギーが必要だったので、その製品の生産自体を止めることも想定しています。そういった様々な考え方を入れながら、SBT基準の「環境ビジョン2030」を達成していきます。