サステナブルな調達を加速

――18年に公表された「グリーバンスメカニズム」について教えてください。

門田 グリーバンスメカニズムは、ステークホルダーから提起されたサプライチェーン上の環境・人権問題について、改善を促す仕組みです。グリーバンス(苦情)を受け付け、環境破壊や児童労働などへの対応を要請したにもかかわらず、改善がみられなかった会社や農家とは取引を停止することで、「サステナブル調達」を実現しています。一部のNGOからは、「少しでも問題のある農家との取引は止めた方がいい」と提言されることもあるのですが、そうしないと生きていけない現地の方々がいるのも事実です。当社が取り引きをやめても、他の企業が買うでしょうから、状況は一向に改善しません。

――地元の農家が、貴重な熱帯雨林をパーム畑にしてしまうからといって、企業が取引を止めると、彼らの生活が成り立たなくなる。難しい問題です。

門田 ですから、当社のやり方としては、取引を止めてしまうサスペンションではなく、彼らと話をして良い方向に持っていくエンゲージメントに力を注いでいます。

 マレーシアのサバ州には、生産性が低く、収入も少ない小規模農家の方々の技術指導をする専門のNGOがあります。当社と志をともにする企業と共同で資金を提供し、そのNGOの活動費を賄っています。それまで目分量だった化学肥料の正しい使い方を指導することで、環境負荷の低減とコストダウンにつながりました。4年間続けた結果、生産性が上がり、農家の収入も増えたので、非常に高い評価を得ました。

 チョコレートの主な原料となるカカオ豆に関しては、西アフリカに比べて南米の豆の品質が低かった。そこで、資金面で支援しながら、小規模農家に豆の発酵技術を指導しました。結果、高く売れる豆を生産できるようになり、彼らの収入が上がり、我々も質のよい豆を買えるというWin-Winの形になりました。

 現地の困りごとを調査して、小規模農家を守っていかない限り、森林破壊はなくなりません。サスペンションではなくエンゲージメントで、サステナブルな原料調達を増やしていくことが、世界中で当たり前のことになればと願っています。

■ 不二製油が取り組むサステナブルな調達
現地で技術指導をするNGOを支援するなどして、カカオ豆やパームの生産性や品質の向上を実現し、森林破壊などの問題を改善、サステナブルな調達につなげる
(画像提供:不二製油)