国内2社目の人権報告書発行

――20年4月に「人権報告書」を公表しました。先駆的な取り組みですが、どんな問題意識がありましたか。

横山 人権報告書の発行はANAホールディングスに続き国内でおそらく2社目です。我々のようなIT企業は国内外に多数の協力会社を抱えています。未成年就業、非正規雇用など人権に関わる要素は色々とあります。AI(人工知能)などの技術による人権侵害にも目配りが必要です。一歩ずつ改善に向けた歩みを進めることが重要と認識しています。

――気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、詳細な情報を開示しています。取り組んだ感想を聞かせてください。

横山 19年度はデータセンター事業を対象に重要度の高い事項でシナリオ分析を行い、財務インパクトを評価しました。このレベルでは特に問題はありませんでしたが、今後は対象をほかの事業にも拡大しなくてはなりません。「アフターコロナ」の世界を考慮した分析も必要ですから非常に大変です。ただTCFDに賛同する企業は増え続けています。当社にとってはビジネスチャンスでもあり、今後の取り組みの中心とすべきと考えています。

「NRIらしく」RE100に挑戦

――19年2月、国際イニシアチブ「RE100」に加盟しました。

横山 お金を支払えばイージーに実現できるかもしれませんが、それではNRIらしくない。例えば、債券に絡めて何かできないか。16年、NRIはグリーンビルディングの取得を使途とする「グリーンボンド」を事業会社として初めて発行しました。18年には国内投資家向け外貨建て債券「カブキ債」、20年3月にはブロックチェーン技術を活用した「デジタルアセット債」など新しい債券に挑戦しています。RE100に関しても、そういう取り組みを検討中です。

――ESG活動は、経営陣と若手社員が熱心で中堅層の意識が低い傾向があります。どう対応していますか。

■ 価値共創リーダーがESGを推進する
価値共創リーダーと価値共創推進委員会委員長の松本晃執行役員(左)
(写真提供:NRI)

横山 社内の価値共創推進委員会を中心に、価値共創の精神を定着させる取り組みを行っています。表彰制度や評価制度に取り込むことも試みていますが、最も効果的と思うのは「価値共創リーダー」の任命です。各本部からエース級の若手人材を18人選抜し、“ESG大使”の役割を果たしてもらいます。中堅層が彼ら彼女らから受ける影響は非常に大きい。

 NRIは20年2月に第2回目の「ESG説明会」を開催。金融機関、アナリスト、格付け機関などから70人超が参加しました。このようなステークホルダーのESGへの意識の高まりを利用し、今後も会社を変革しつつ価値共創を実現したいと考えています。