聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

新型コロナの感染拡大で休校が続く中、オンライン教育サービスを一層強化している。「よく生きる」の企業理念のもと人の一生に寄り添う本業に真摯に向き合いサステナビリティの実現を図る。

――新型コロナウイルスの感染拡大で学校の休校が続きました。ベネッセグループはどう対応しましたか。

安達 保(あだち・たもつ)
ベネッセホールディングス 代表取締役社長
1953年東京生まれ。77年三菱商事入社後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン、GEキャピタル・ジャパンなどを経て、2003年米投資ファンド・カーライル日本法人代表を務める。07年同社日本共同代表、16年同社会長。03年以降ベネッセホールディングス社外取締役を11年間務める。16年10月より現職(写真提供:ベネッセホールディングス)

安達 保 氏(以下、敬称略) 以前から、教育のあり方が変わることを想定し戦略を講じていました。2020年4月には、通信教育講座「進研ゼミ」を担当していたカンパニーと学習塾を担当していたカンパニーを統合し、「校外学習カンパニー」を新設しています。学校外の学習について、オンラインを活用し、子供たちが自分にあった内容を好きな時間・場所で好きなツールを使って勉強できるスタイルを構築する狙いです。準備を進めていたこともあり、新型コロナに対してもいち早く対応ができました。

 3月には「進研ゼミ中学講座」の会員向けに双方向型のオンライン授業を開催しました。休校中の小中学生が規則正しい学習・生活習慣を維持できるよう、オンライン教室「きょうの時間割」も提供しました。時間割に沿って歌や体操などを楽しめる「オンライン幼稚園」は世界100カ国で活用いただいています。デジタルやオンラインを使った教育が後戻りすることはもうないと思います。

――教育のオンライン化が一気に加速した形ですが、課題はありますか。

安達 なんでもかんでもオンライン化すればいいわけではありません。効果的な学習ができること、ワクワクしながら学べることがポイントです。オンラインと教室、オンラインと家庭をハイブリッドにして価値あるものをいかにつくるかが知恵の出しどころだと思います。

――19年3月、「サステナビリティビジョン」を策定しました。どのような問題意識がありましたか。

安達 ベネッセは「よく生きる」という企業理念を掲げ、教育や介護など社会課題解決に直結した事業を手掛けています。本業に真正面から向き合うことがサステナビリティ実現につながります。サステナビリティの価値観は経営のトッププライオリティ(最優先)ととらえています。

 18年にサステナビリティ推進委員会を設置。グループが進むべき方向性について議論し、5つの活動方針に落とし込んだサステナビリティビジョンを策定しました。2020年2月には5つのビジョンの具体的な取り組みを特定しています。データやテクノロジーを駆使した新しい学びなどWithコロナ、Afterコロナの社会での課題解決につながるテーマは特に強化して取り組む方針です。

■ ベネッセグループのサステナビリティビジョン
出所:ベネッセホールディングス
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