時価総額は10年で約6倍に

――ロシュとの戦略的アライアンスは価値創造に影響しますか

上野 日本、世界の患者に貢献価値を広げることが可能となっています。ロシュの豊富な研究開発リソースによって生み出した革新的な新薬を日本に導入し、当社が開発した革新的な新薬をロシュのグローバルネットワークで世界に届けることができる。両社はWin-Winの関係です。

 当社はロシュグループの一員ですが、上場を維持し経営の独自性を保持しています。グループ内の米ジェネンテックなどと切磋琢磨し高みを目指す中で相乗効果も生まれます。世界でもユニークなモデルとされるアライアンスですが、当社の時価総額は10年で約6倍になるなど期待していただいていると感じます。

■ 中外製薬の「ステークホルダーとの共有価値の創造」に向けた基本方針
■ 中外製薬の「ステークホルダーとの共有価値の創造」に向けた基本方針
出所:中外製薬
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――ESG経営に関してもロシュとの協働を進めていますか。

上野 ロシュのESGチームと当社のサステナビリティ推進部は年に2回ほどコミュニケーションをとり、方向性を確認しています。この1〜2年、議論を重ねてきたのが責任あるサプライチェーンマネジメントの構築です。

 グローバル製薬企業で構成する非営利団体・PSCIに参画しサプライヤーの評価を共有するほか、ロシュと共同で監査を行い、サプライヤーに人権や環境に関して求めるレベルまで対応していただいています。

ロシュは09年から10年連続で「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス」の業界トップに選ばれるなどESGに大変熱心に取り組んでいます。自分たちのレベルを上げるためによい刺激になります。ロシュは2050年の目標に温室効果ガス排出ゼロ、フロン撤廃を掲げています。グループの一員として貢献するためにどんなロードマップをつくるべきか、社内で検討しているところです。

SDGs貢献のアイデアを具体化

――SDGs達成に向けてどのような活動を進めていますか。

上野 「すべての人に健康と福祉を」というSDGsが定める目標3は我々のミッションに直結する一丁目一番地です。それを実現するために重要な4目標(SDGsが定める8、9、12、17)と事業活動の基盤となる6目標(SDGsが定める5、6、10、13、15、16)の達成に向けた取り組みを進めています。SDGsに貢献しているとの意識を社内に浸透させる施策の1つとして、19年から希望者を対象にSDGsに関する研修とワークショップを始めました。これまでに400人ほどが参加しています。SDGsへの貢献アイデアを募るコンテストには200ほどのアイデアが寄せられました。最終的に残った3つのアイデアを経営陣に発表し、具体化するフェーズに入っています。

――新型コロナウイルス感染症の治療薬として、関節リウマチ治療薬「アクテムラ」に注目が高まっています。

上野 日本では20年5月に治験を開始しました。欧米ではロシュが治験を行っています。今後も世の中の様々な病に悩む患者さんに使命感を持って対応していきたいと思っています。