聞き手/酒井 耕一(日経ESG発行人)

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、働き方への価値観が変わる中で、地方創生事業を一層強化する。兵庫県・淡路島での活動拡大を通して、ソーシャルアクティビスト集団として企業価値を高めるという。

――新型コロナウイルスの感染拡大で社会はどう変わるでしょうか。

南部 靖之 氏(以下、敬称略) 人々の価値観が大きく変わると思います。健康意識が一層高まり、食や運動に真剣に向き合うようになる。「東京が一番」という考えも変わります。

 何でもあって便利と思われていた東京ですが、意外ともろいことが分かった。地方の方が食も文化・芸術も豊かだと感じた若者はこれからどんどん地方に行くでしょう。「東京大脱出」ですよ。働き方も社会のあり方も「これしかない」と思い込んでいたことが全部覆る。“超常識”の時代に突入します。

淡路島で2000人働く

――その変化にどう対応しますか。

南部靖之(なんぶ・やすゆき)
パソナグループ 代表取締役グループ代表
1952年生まれ、兵庫県出身。1976年、関西大学工学部を卒業する1カ月前に人材派遣会社テンポラリーセンター(現パソナグループ)を設立。2000年より代表取締役グループ代表を務める(写真提供:パソナグループ)

南部 パソナグループは10年以上前から東京一極集中の問題を解決するため、兵庫県・淡路島で独自の地方創生事業に取り組んでいます。遊び、文化、自然、美食、健康などに関する新たな産業をつくったほか、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業の一部を移し、定住人口を増やそうとしています。この事業をさらに推進していきます。アニメパーク「ニジゲンノモリ」では、今ある「クレヨンしんちゃん」「NARUTO」「火の鳥」に加えて、2020年8月に「ゴジラ」のアトラクションがオープン予定です。21年春までに2000人ほどが淡路島で働く体制にしたい。少しずつ拠点を移す準備をしてきて、コロナウイルスの感染拡大を機会に移行をさらに進めました。20年は「淡路島で働きたい」という新入社員が多く、40人以上を配属しました。オンラインで十分仕事はできるし、満員電車に揺られてコロナを心配しながら通勤する必要もないですからね。私自身も今はほとんど淡路島にいます。

――パソナのビジネスモデルにも変化は生じていますか。

南部 コロナをきっかけにコンサルティング事業の引き合いがすごく増えています。企業の人事や総務の業務などをオンラインで行う方法を教えてほしいという依頼がどんどんきている。本格的な受注はこれからですが、新しいビジネスとして大いに期待できます。

 これから、日本は企業に人生を委ねた「企業依存社会」から「個人自立社会」に変わるはずです。個人の価値観やライフスタイルに合わせて働き方を選択し、才能を発揮できる社会です。企業が新事業を始める時にはデザイナー、営業、企画、弁護士、会計士などを集めるプロジェクト型の雇用になるでしょう。個人の技能や才能を登録した「才能バンク」が活用される時代になると思います。

■ パソナグループの企業理念