聞き手/斎藤 正一(日経ESG経営フォーラム事務局長)

多様な人を受け入れ、教育で能力を高め、業務環境を整えて、長く勤めてもらう。ベルシステム24ホールディングスの成長戦略の鍵は「人と働き方の多様性」の推進にあった。

――経営上の最重要課題である「5つのマテリアリティ」の中で「人材と働き方の多様性」をトップに掲げる理由は何でしょうか。

早田 憲之(はやた・のりゆき)
ベルシステム24 ホールディングス 取締役 専務執行役員 兼 人事管掌
1959年生まれ、81年4月伊藤忠商事入社、2015年4月ベルシステム24ホールディングス取締役 常務執行役員 兼 ベル・メディカルソリューションズ取締役、17年3月より現職(写真:村田 和聡)

早田 憲之 氏(以下、敬称略) もともとマテリアリティの策定の前に、当社の企業理念の中の「我々の行動理念」で「楽しく、安心して働ける、人に優しい職場(コミュニティー)を作ります」と掲げています。当社がコンタクトセンターで採用しているコミュニケーターは、女性の比率が75%と高く、年齢層も20代から60代と幅広く、障害者の方もいらっしゃる。そんな「多様な人たち」に楽しく安心して長く働いてもらうためには「多様な働き方」が必要ですので、マテリアリティの一番に掲げました。

――「人材と働き方の多様性」を最重要課題にすることで、ビジネスにはどんな影響がありますか。

早田 キャリアを積めば積むほど、コミュニケーターの業務の質は高まり、生産性が上がります。「人と働き方の多様性」を実現して長く働いてもらうことが、当社の成長の源泉であり、競争力に直結します。逆に実現できなければ成長にブレーキがかかるのです。

――2018年6月、HRポリシーを制定された狙いは何でしょう。

早田 十数年前、人がいくらでも確保できた頃は、フルタイムで働けて、パソコンも使えて、会話もしっかりできる人を選んでいました。しかし、少子高齢化の影響で、人の確保がだんだん難しくなりました。

 そこで、当社に入った人材をきちんと育成し、能力を高めて、長く勤めてもらうという発想に変わりました。その変化に合わせてダイバーシティをより推進するため大切にしてほしい考え方として、「ともに成長する」「チャレンジする」「磨き続ける」というHRポリシーを制定しました。

 現在、社員約9000人、コミュニケーター1万9000人の全従業員が、その3つのポリシーを目指せるように、環境や条件を変えていくという会社側の決意もこめられています。

■ ベルシステム24ホールディングスと社会の共通する重要課題
出所:ベルシステム24ホールディングス
[クリックすると拡大した画像が開きます]