買取価格の低下に対応

――再エネの普及を目指す国際的イニシアティブ「RE100」のアドバイザーに登録し、科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減を促す「SBT」の策定支援事業に着手しました。経緯を教えてください。

木下 E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の3つの観点から企業の対応状況を評価し、投資するESG投資が注目されるなか、大手企業を中心に再エネを無視できない状況が来つつあります。私たちの得意分野である太陽光発電をさらに普及させるため、環境省がRE100に参加した2018年度からアドバイザーになりました。先日、RE100とSBT支援のためのセミナーに講師として参加させていただきましたが、300人もの参加者に来ていただきました。みなさん非常に興味を持たれています。

 RE100宣言をされた多くの大手企業では、省エネルギーを推進するとともに自社から発生するCO2の削減にも取り組んでいます。この一環として、太陽光発電を自家消費して活用することが検討されています。ただ、設備の設置には初期投資に加えて、管理やメンテナンスなど様々なコストやリスクがあることが懸念事項になっています。

 こうした企業に向けて、当社では初期投資ゼロで太陽光発電設備が設置できる「PPA(発電者と電力消費者の間で締結する電力販売契約)モデル」を提案しています。「太陽でんき」というサービス名で企業を中心に売り込み、商業施設や工場、倉庫などの建物の屋根に太陽光パネルを設置していきます。

 現在、金融機関と共同でスキーム作りに取り組んでいます。金融機関にとっては投資ですから、私たちはそのリターンに見合う形でスキームを組むわけです。1号案件を2019年内に開始できるよう準備を進めています。

――固定価格での買い取りが終了する「FIT卒業」や買取価格の低下で、太陽光発電の自家消費が大きな流れになりますか。

「太陽光発電は、売電から自家消費へ」

木下 間違いなくその流れになります。(産業用で)40円から始まったFITの買取価格が、2018年度は18円と半分以下になりました。経済産業省は先ごろ、2022年度までには8.5円の単価まで下げるとアナウンスしました。おそらく2019年度は15円程度になるでしょう。15円になると、大手事業所の産業用の電気料金と同じになります。売電しつつ電力会社から電力を買うよりも、自家消費をする方がメリットを得られるようになります。

 なおかつ、再エネはどんどん普及し、2030年までに現在の倍以上になることが予定されています。そこで問題になるのが、国民の負担です。現在、電力の利用者が「再生可能エネルギー発電促進賦課金」を負担しており、産業用電気料金のうち約16%が賦課金として徴収されています。2018年度で1kWh当たり2円90銭、2030年度には約5円になります。

 さらに原発の廃炉費用の確保の問題もあります。これについても電力系統利用料で賄っていくしかありません。こうした国民負担を減らすためにも、FITに頼れなくなるのは明白です。

 今後は、電気自動車の普及に伴い蓄電池も安くなるでしょうから、不安定といわれる再エネの電力をコントロールしやすくなります。自分で発電した電力は自分で賢く使うという流れは加速すると思います。

――2004年11月の創業から、現在は400人規模の会社に成長しました。2017年以降、太陽光発電事業者の倒産が相次ぐなかで、右肩上がりの成長を続けている理由はどこにあるのでしょうか。

自分たちが欲しい商品を売る

木下 創業当初は電話セールスでオール電化の商材を販売する会社で、私は2008年11月に代表に就任しました。当時は会社の存続が危ぶまれる経営状態でしたが、2009年に太陽光発電設置の補助金制度が復活したのをきっかけに、住宅用太陽光発電の販売を始めたのが転機になりました。

 その際、自分たちが本当に欲しいものを売ろうという方針を固めました。提供する商品の価値づくりが必要だと、自社で施工し、メンテナンスサービスも提供して、他社との差別化に努めてきました。同時に電話セールスからウェブでの集客に切り替ました。商品の設計を工夫することで、お客様にウェブを訪問していただけるようになりました。

 当社の業績が好調なのは、メガソーラーブームは終わったけれど太陽光発電事業は可能性があることの裏付けになるのではないでしょうか。当社では、個人投資家向けの小規模な場所にターゲットを絞っています。高圧連系は電力会社の系統に接続しにくいという問題もあるので、基本は50kW未満の低圧連系です。