――CSRレポートで社長は「『時間財』を扱う住友林業の責任」という表現を使っています。このキーワードに込めた意味を教えてください。

市川 「時間財」は非常に広い概念ですが、そのシンボルと考えているのが木材です。木は伐採直後には真新しい木材としての素晴らしさがありますし、10年経てば10年経ったなりの良い味が出てきます。寄り添って長く使えば使うほど、時間と共に価値が生まれてくれるものだと思います。

――ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及にも力を入れています。どのような取り組みがありますか。

市川 ZEHは断熱性能、省エネ設備、発電機器を組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量ゼロを目指す住宅です。国が政策目標を設定していますが、当社としても積極的に推進しています。当社の本業から見た取り組みという点では、やはり木材の活用がポイントになります。木材を使うことで、木や住宅のライフサイクル全体で見ればCO2排出量を少なく抑えられ、住宅を建築した後も炭素を固定します。さらに「冷たい・暖かい」冷暖房ではなく、「涼しい・温かい」の「涼温房」という視点で消費エネルギーを効率的に減らすことができます。木の家は涼しくて温かく、電気代も減らせることを、実際に住まわれている方には感じていただいておりますし、その点をアピールしていきたいですね。

――そうした取り組みもSDGsに合致するものだと思います。SDGsについて、社長の考えを伺えますか。

市川 SDGsは全体で見るとテーマがきわめて広く、一企業がすべてに貢献することは難しい。それぞれの本業でやれることをやるというのがSDGsの考え方だと思います。当社も、木材による良い家づくりを突き詰めれば突き詰めるほど、本業がSDGsの目標に近づいています。

 当社の経営理念には、「自社の目先の利益だけでなく、広く社会に寄り添っていく」という住友の事業精神が貫かれています。その意味では、当社はSDGsと同様の考え方をDNAとして抱き続けているといえるでしょう。