聞き手/酒井 綱一郎(日経BP社取締役副社長)

ICTの視点から社会を支えるNTTドコモは、経営そのものをESGと捉える。そこを起点に、災害対策の強化に努め、5Gを軸とする新しい価値の創造に向けて取り組んでいる。

吉澤 和弘(よしざわ・かずひろ)
NTTドコモ 代表取締役社長
1955年群馬県生まれ。1979年に日本電信電話公社(現・NTT)に入社。2007年にNTTドコモ執行役員 第二法人営業部長に。取締役執行役員 人事部長、取締役常務執行役員 経営企画部長 などを経て、14年に代表取締役副社長 技術・デバイス・情報戦略担当、16年6月に代表取締役社長に就任

――ESG、SDGsの観点から、社長が最も力を入れていることは何ですか。

吉澤 和弘 氏(以下、敬称略) もともとESGの活動は、事業運営と別物ではあり得ないと考えています。その意味では経営自体がESGそのものになっています。

 当社にとって社会全体がお客様ですから、通信事業者として社会に対し安定した通信を提供する使命があり、常に新しい価値を提供し続けることが、企業としての責任と存在意義だと考えます。

 お客様から信頼される企業体質をつくり上げる「Responsible docomo」、新しい価値の提供により社会課題を解決する「Innovative docomo」の両輪でCSR方針を策定し、そこを起点としてESG経営を推進。SDGsの達成など社会課題の解決に寄与していきます。

――「Responsible docomo」の取り組みについて教えてください。

吉澤 特に災害対策に力を入れています。災害時に通信を途絶させず提供し続けることはもちろん、仮に途絶した場合はいかに早く復旧させるかが当社の使命であり責任といえます。2018年も各地で大規模災害が発生しましたが、台風21号や北海道胆振東部地震などにおいて、被災エリアへの迅速な対応を行いました。

 通信が途絶したところには移動基地局車を出動させ、避難所などに充電設備やWi-Fiも提供しています。また、釧路で初めて通常の基地局より広い範囲をカバーする「大ゾーン基地局」を運用し、広範囲の通信回復に貢献しました。「大ゾーン基地局」は現時点で全国106カ所に設置しています。

――一方の「Innovative docomo」についてはいかがでしょうか。

吉澤 IoTの浸透で様々な社会インフラにセンサーなどが設置されるようになり、社会基盤として担うべき役割もさらに増している状況です。当社では、橋をはじめ様々な構造物で劣化状況をモニターできるシステムを提供。また、漁業者に水温センサー付きブイを、農業では水田の水温などを監視するセンサーを提供するなど、第一次産業におけるICT活用にも力を入れています。

 有志女性社員によるICT推進プロジェクトチーム「アグリガール」が活動していますが、これも当社の技術を農業活性化に役立てるという点で、社会課題解決に寄与する取り組みの一つだといえます。