将来のビジネスのシーズを創造

――価値創造モデルを背景にした中期経営計画を教えてください。

山埜 「中期経営計画2020」では、テクノロジーの急速な発展などの環境変化を踏まえ、既存事業のバリューアップ、次世代新規ビジネス創出、プラットフォーム事業の活用を柱とする「成長戦略の推進」と「経営基盤の強化」を中心に取り組みます。

 成長戦略ではまず既存事業のバリューアップを重視します。現在の収益の柱を一層強化すると同時に、事業のフルポテンシャル化を追求していきます。

 次に次世代新規ビジネスの創出ですが、加速度的に変化する環境の下で、当社が今と同じ形で成長を続けていくことはありえません。中期経営計画では長期的視野で取り組む3つの成長分野を特定しました。「テクノロジー×イノベーション」は、デジタルトランスフォーメーションの推進やR&D活動を通じ新たなビジネスの芽を生み出す分野です。「ヘルスケア」は、医療以外にも予防・健康・介護など幅広い分野での展開が期待できます。

 「社会インフラ」では、今後、スマートシティや交通インフラ整備などの分野でビジネス機会が拡大すると考えます。新技術を組み合わせた環境配慮型の街づくりにも、チャンスがあるでしょう。

 またプラットフォーム事業の活用では、社員全員が意識してグループ内にあるリソースやネットワークを最大限活用することを目指します。

――ESGやSDGsに関する取り組みのトピックはありますか。

山埜 環境面では、再生可能エネルギーに積極的に取り組み、2035年を目途に発電事業ポートフォリオの30%まで拡大する計画です。また、環境負荷緩和に役立つ水素、蓄電池やエネルギーマネジメントや、CO2吸収に貢献する森林事業にも注力していきます。

 社会面では、拡大する事業やサプライチェーンのトレーサビリティの確保が課題で、グループ会社のモニタリングにおいて、サプライチェーン管理を含む人権や環境問題への取り組みを、定期的に確認する体制を導入しました。

 ガバナンス面は、18年6月より、社外取締役を3人から5人(うち、女性2人)に増員し、社外取締役の比率を高めることで、多様な視点から取締役会の適切な意思決定と監督機能の一層の強化を図っています。取締役会の諮問機関として、過半数が社外取締役で構成され、社外取締役を委員長とする指名・報酬諮問委員会を設置しています。

 事業ポートフォリオのリスクプロファイルや中期経営計画の進捗、事業部門毎の活動報告など、取締役会における説明項目も増やして、取締役が事業活動の全体像を把握しやすくしています。

 また、投資家やステークホルダーとのコミュニケーションについて、機関投資家向けESG説明会やシェアホルダー・リレーションズ活動、気候変動関連情報の充実や、「ESGコミュニケーションブック2018」の公開など、ESG情報開示の充実に努めています。

 企業のESG推進は、ステークホルダーや社会全体を巻き込んだPDCAサイクルです。当社は社会全体の経済成長を背景に成長してきた企業として、より良いサイクルの醸成に向けて活動する動機と責任があります。今後も真摯にESGを推進し、社会全体と当社自身の持続的成長を実現していきたいと考えています。