――2019年1月に新設したCSR推進室を、事業戦略の策定やM&A(合併・買収)、AI(人工知能)などの新技術導入を担う事業戦略部内に設置したのも同じ考えからですか。

柘植 「人」を中心としたCSRへの取り組みが当社の事業戦略と密接に結びついていると捉えているため、CSR推進室は経営に一体化し、事業戦略の中心に置いています。先ほどの木の話で説明したように、人材を重視する姿勢が当社のCSRの土台であり、経営の根幹をなすものだと考えています。当社では業務をよく知る従業員が退職することは、財務面でも非財務面でも大きな損失につながってしまいます。だからこそ従業員に焦点を当てたCSRに力を入れ、ずっとこの会社にいたいと思ってもらうことが重要になります。

――人材重視の具体的施策としてどのような取り組みを始めていますか。

柘植 有期雇用社員が5年働くと無期雇用に転換できる権利を得るという労働契約法のルールが2018年4月から本格化しました。当社はその半年前の2017年10月から、契約社員が6カ月働いたら無期雇用に切り替えられる選択肢を用意しています。

 実はこれは2018年12月にスタートした新人事制度に先行させた施策です。新人事制度では正社員・非正規社員の垣根をなくし、シームレスにしていくことを目指しています。多様な人材がライフスタイルに合わせて多様な成長ラインに乗れるようにする、いわゆるキャリアの複線化を目指して、いくつものルートを用意しています。短時間勤務者向けやスペシャリスト向けキャリアパスを新設したり、評価制度や、賞与制度も刷新しました。

多様な働きやすさも追求

――多様性に焦点を置くCSR活動としては、一般社団法人ラ・バルカグループが運営する久遠チョコレートとの協業で障害者雇用も進めています。

柘植 当社の採用・教育のノウハウを活用し、障害を持つ人たちを採用して、チョコレートの製造支援業務を行っています。愛知県豊橋市の工場で2018年11月に製造を開始しました。実際に食べてみると、これがとてもおいしい。おいしいということが大切です。本社内にオープン予定のミニカフェでは、コーヒーの専門家の指導によって、障害者にハンドドリップでおいしいコーヒーをいれてもらいます。

――そのほかに社会課題の解決に向けた取り組みはありますか。

柘植 企業内保育所を沖縄と福岡に開設していますが、2019年に3カ所目として札幌でもオープン予定です。また、今後の話として、シングルマザーがワーキングプアの状況に陥ることを防ぐため、何らかのインセンティブの提供を含めた取り組みを進めていきたいと考えています。

――最後に、「監査役会の実効性に関する評価結果」を公表されましたが、コーポレートガバナンス強化についての考え方を聞かせてください。

柘植 企業にはやはり正しいチェック機能が必要です。そのチェック機能には様々なものがあっていい。取締役会はもちろん、監査役会の実効性を高めていくことで、多面的なチェックをしていくことが大切だと考えています。