一方、イギリスをはじめ欧州ではプラスチック規制が強化されつつあります。こうした動きのなか、より革新的な容器を開発し、世界に提案していきたいと考えています。

――今後は、プラスチック包装容器の取り組みをどのように進めていくのでしょうか。

マンツ まず、開発には多大なコストがかかりますが、次の成長に向けての長期的な「投資」という考えで進めていきます。

 プラスチック問題は花王一社だけで解決することはできません。そのための技術を普及させることが必要です。業界内にどう広げていくのか、特許の公開などを視野に入れ、検討している段階です。

 社長とも話をしているのですが、業界の垣根を超えてやっていくという意気込みでいます。特に、プラスチック廃棄物が問題となっている食品業界と組んで何かできないか、可能性を探りたいと思います。

――ESGの重要性を実感した個人的な体験はありますか。

マンツ 私は、かつて鉄鋼産業が栄えたアメリカのペンシルバニア州ピッツバーグの出身です。私が生まれた頃は公害がひどく、製鉄工場に勤めていた父や祖父のシャツの襟が大気汚染ですぐに真っ黒になってしまうほどでした。私はそんな環境で育ったのですが、鉄鋼業が衰退し始めたとき、一般市民や自治体、様々な機関が手を取り合い、街の再開発に向けて構造転換に尽力しました。すると、20年ほどであっという間に医療産業や先端産業が育ち、美しい街へと変貌したのです。すべての人が力を合わせれば素晴らしい社会に生まれ変わると確信しています。