聞き手/田中 太郎(日経ESG編集長)

産業用ロボットをはじめとするメカトロニクス製品で世界的シェアを持つ安川電機。省エネ効果の高いインバーターの普及によるCO2削減目標達成に向け取り組みを進める。

――まずは、インバーターとはどのような機器なのか教えてください。

陣内 信朗(じんのうち・のぶあき)
安川電機 執行役員 インバータ事業部長
1966年生まれ。1990年安川電機製作所(現・安川電機)に入社。2006年インバータ事業部技術部構造設計課長、09年同事業部品質保証部長、10年同事業部生産部長、11年同事業部工場長、13年同事業部事業推進部長、17年理事 事業部長を経て、18年3月より現職(写真:飯山 翔三)

陣内 信朗 氏(以下、敬称略) インバーターは電気の周波数を変換する装置のことです。一般にインバーターと呼ばれる装置の内部には、電源から供給される交流の電気を直流に変換するコンバーター回路と、その直流を交流に戻しモーターなど機器に応じて周波数を変換するインバーター回路の2つが含まれています。

 インバーターは周波数を変えてモーターの回転数を調節するので、省エネに効果があります。家庭ではエアコンや蛍光灯などに使われている他、産業用機械ではファンやポンプ、当社製品ではエレベーター、クレーンなどに利用されます。世界的にマーケットの主流を占めているのはファンやポンプですが、今後は電気自動車(EV)もそうした主流マーケットになる製品だといえます。

――インバーター事業の実績と、ビジネス面での展望を聞かせてください。

陣内 1974年にトランジスタインバーターを市場に投入して以来、現時点で累計出荷台数約2500万台を達成しています。信頼性の高さが、マーケットに認知されている大きな理由だと考えています。

 EVの例を挙げましたが、様々な分野でますます電動化が進んでいくことは間違いありません。実は電気エネルギーの半分はモーターに使われており、そのうちインバーター化されているのは2割ほどしかありません。様々なモーターで今後インバーター化が進むことは疑う余地はなく、ビジネス面でも期待できます。

――世界的に環境規制が強化される中で、インバーターによる省エネはセールスポイントとして効果的ですね。

陣内 そう思います。その一つのキーが、インバーターと高効率モーターの組み合わせによる省エネです。永久磁石を採用したPMモーターは省エネ性能が高く、インバーターとセットにすればより大きな効果が生まれます。通常のモーターにインバーターを付ければ20〜30%、PMモーターと組み合わせると50%の省エネになります。

 省エネに4つのステージがあると考えています。「第1の省エネ」は、まずインバーターを使っていただくこと。「第2の省エネ」は高効率モーターを採用していただくことです。そして「第3の省エネ」は回生エネルギーの利用で、これは2015年度省エネ大賞で経済産業大臣賞を受賞した「U1000」で実現しています。さらに、自動制御によりモーター効率を向上させる省エネを「第4の省エネ」と呼んでいます。

■ インバーターで顧客の省エネ対策に貢献
安川電機が顧客にもたらす省エネ対策は4つの段階に分けられる。まずはインバーターそして高効率モーターを利用することによる省エネ(第1・第2の省エネ)。2014年には回生エネルギーを電源に戻す機能を備えた、新たなインバーターを発売(第3の省エネ)。さらに2016年には、モーター効率を向上させる自動制御機能を備えた製品も発売している(第4の省エネ)
(出所:安川電機)
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 セールスポイントという点では、他社との差別化にも力を入れています。その代表がU1000で採用したマトリクスコンバータ技術。インバーター内で交流から直流にいったん変えた電気を再び交流に戻すとき、どうしてもノイズが発生し、他の機器に影響を与える可能性があります。同技術を採用したU1000は交流から交流へダイレクトに変換するので、ノイズが発生しません。こうした技術は当社の強みといえます。