――2017年度から4年間の中期経営計画では、そうした歴史観を基に何を目指しているのでしょうか。

清水 創業の精神と、当社のミッションやビジョン、バリューを示した「グループ憲法」をベースにしつつ、なかでも最も重要な概念はバリューの中の「人のために働く」であり、従来のプロダクトアウト型経営からソリューション型経営への変革を図り、サステナブルな社会の実現と当社グループのサステナブルな成長を目指していきます。

 これから会社を経営していく上で最も重要なコンセプトは、サステナビリティだと思います。重点領域の筆頭に「食の創造によるソリューション」を掲げ、植物性食品素材によるソリューションを追求するPBFS(Plant-Based Food Solutions)を打ち出すとともに、「サステナブル調達」も重点領域に挙げています。

■ サステナブル調達 人権・環境に配慮した主原料の調達-パーム油-
■ サステナブル調達 人権・環境に配慮した主原料の調達-パーム油-
*1 食品の安全確保のため、生産履歴や経路を明らか(トレーザブル)にすること、その仕組み。 *2 RSPO:Roundtableon Sustainable Palm Oilの略。持続可能なパーム油のための円卓会議。

不二製油グループは、基幹原料の一つとしてパーム油の可能性を追求し続け、新しい食文化を切り拓いてきた。パーム油の持続可能な調達を目指すことは社会的責任であると考えている
(出所:不二製油グループ本社)
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 2018年に世界3位のチョコレートメーカー、米ブラマー社を買収しましたが、チョコレートはサステナブルの観点で重要な食品です。カカオは栽培できる地域が限定され、自然環境の影響も受ける。一方では児童労働などの厳しい現実もあります。ブラマー社は古くからサステナビリティに取り組んできた会社ですが、カカオをサステナブルに調達するには当社もESGやSDGsの施策を進展させなければなりません。

――中計の策定時に戦略として重視した点を教えてください。

清水 ディスラプションの時代を迎え、従来と同じモデルでは成長できません。跳躍しようという想いを込め「Towards a Further Leap 2020」と名づけました。「2020年のあるべき姿」「2030年のありたい姿」のビジョンを描き、「コアコンピタンスの強化」「大豆事業の成長」「機能性高付加価値事業の展開」という3つの柱を基本方針としています。

 当社が展開する油脂や大豆たんぱくを使った植物性食品素材を、単に牛乳や肉の代替品ではなく、おいしいものとして提供することを目指す。「おいしさと健康で社会に貢献する」というのはグループ憲法にあるビジョンです。そもそも“おいしい”というところまでいかなければ、真の素材革命にはなりません。

 世の中の価値観は常に変わり続けています。例えばコーヒーに豆乳を入れたソイラテは、かつて牛乳の代替価値を提供するものでした。しかし今は豆乳がおいしくなり、「健康にいいから」という理由だけでなく、「おいしいから」と積極的に選択する人が増えています。これも「モノ」から「コト」に価値の基準が移り始めたことを表す変化でしょう。価値観は変わることを前提にしなければイノベーションは生まれません。