――次期中計ではどういった点を変えていこうと考えていますか。

清水 3つの基本方針と7つの重点領域など事業の方向性については、現中計で的確に示していると思います。ただ、跳躍しようと言ったわりには、従来通り各現場からの積み上げ式の方法論で中計を作ってしまったという反省があります。

 「2030年のありたい姿」を打ち出したように、中計策定時点でのマイルストーンはSDGsの目標年次でもある2030年でしたが、次期中計ではその先の2050年をマイルストーンに設定したいと思います。

 そのとき、2050年の未来の具体的なイメージをトップ自ら明確に描き、そこからバックキャスティングして、何が価値であるかを強く打ち出す。トップのコミットメントを明らかにし、重要業績評価指数(KPI)もきっちり定める。その上で、各現場から意見を抽出して決めていくというように、方法論の部分で改善したいと考えています。

最高ESG責任者を設置

――2019年4月に組織改革を行い、CESGO(最高ESG経営責任者)という役職を作りました。

「価値観は変化することが前提」(写真:山田 哲也)
「価値観は変化することが前提」(写真:山田 哲也)

清水 CESGOはまだどこの会社にもない役職かもしれません。従来の当社はMOT(Management of Technology)とMBA(Management of Business Administration)で特徴づけられる会社でしたが、ここに2019年からMOS(Management of Sustainability)という方向性も加えるとの思いで、CESGOを作りました。

 ESG経営は財務価値のみを追求するものではなく、地球環境を考えないといけません。グループ憲法ではバリューの1番目に「安全と品質、環境」を掲げており、そのバリューを担保する役割としてCQO(最高品質責任者)を置いていました。今回、メーカーの本質としてESGの推進役を期待してCQOをCESGOに変更したというのが経緯です。

――中計ではダイバーシティの重要性も強調しています。

清水 日本はあくまで世界の一部であると捉え、日本から飛躍して、グローバルカンパニーを目指しています。グループ社員6000人のうち4500人が外国人で、日本人は4分の1の1500人ですから、日本からビジネスモデルやガバナンスを発信するのはそもそも現実的ではありません。売上も6割は海外のものです。

 海外では現地の人が社長や工場長になっているケースが出てきていますし、将来的には地域統括会社のトップに外国人が座る日もくるかもしれません。こうした会社の特性上、国籍の点でダイバーシティを推進するのは当然ですが、女性活躍の取り組みも積極的に進めています。

――今後、最も力を入れる分野は何ですか。

清水 「人」への投資です。イノベーションを生むのも、ブランドを作るのも、すべては人ですから。人をどう作っていくかが非常に重要で、ダイバーシティはその点でも大切です。人事を日本発でなく、グローバルで行うことも緊急の課題です。

 また、やはり「サステナビリティ」が重要です。代替はサステナブルであるという考え方を追求し、広めていくことで、本業がSDGsの目標とイコールになる。その点は、企業として幸せなことだと思います。