“自分事化”で理解を深める

――伊藤園はESGやSDGsを経営にどのように取り込み、推進しているのでしょうか。

笹谷 当社には「お客様第一主義」という経営理念があります。この経営理念を起点とし、社内の取り組みをESGやSDGsに則って説明できるように、“自分事化”したツールとして使ってきました。2013年にポーター賞を受賞、2016年に米「フォーチュン」誌で「世界を変える企業50社」に選ばれたことは、社内外への影響も大きく、取り組みの効果を実感できました。

 当社のビジネスモデルは、「茶畑から茶殻まで」に表されるように、一貫して持続可能な生産と消費を体現しているバリューチェーンに特色があります。調達、製造、販売という価値創造の流れの中で、各活動がSDGsのどの目標に対応しているか示すことで、社内理解が進みました。

 例えば茶産地育成事業は、当社の求める高品質な茶葉の安定調達を実現するとともに、全量買い取り契約と技術指導で農家の経営安定、地域の雇用創出、耕作放棄地の活用にもつながり、「三方良し」のWIN-WIN関係が生まれています。これはSDGs目標2の「食料安全保障と持続可能な農業」に対応します。茶殻リサイクルも同様で、茶殻を紙製品などに配合することでCO2抑制、省資源化、リサイクルの一石三鳥を実現し、新たな商品開発につながります。これは複合的にSDGsの環境課題に対応しています。

――2017年の統合レポートでも全編にわたってSDGsを取り上げています。

笹谷 ESGやSDGsに即して内容を充実させました。KPI(重要業績評価指標)や重要課題(マテリアリティ)をESGの関心項目に差し替えるなど、大幅な見直しを行っています。また、活動の各項目に責任役員のコミットメントを表示し、SDGsに対する責任体制を明確にしました。統合思考のために、社長を委員長とするCSR/ESG推進委員会の下に編集会議を設け、関係部署との打ち合わせやフィードバックを重ねた上で作成しました。このときのワーキングチームは来期に向けての財産にもなったと感じています。

 SDGsに明確に対応する活動として発信しているので、ESG投資家の理解も得られます。また、活動の成果として「ジャパンSDGsアワード」の特別賞も受賞し、伊藤園のSDGsモデルが“トップランナー”として発信されました。今後も「世界のティーカンパニー」を目指し磨きをかけていきたいと考えています。

■ 伊藤園 CSRへのSDGs導入の考え方
伊藤園は、ISO26000の体系にSDGsを組み込むことで、より高度なCSR/CSVの体系を整え、「世界のティーカンパニー」を目指している
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