聞き手/望月 洋介(日経BP社取締役)

2010年の経営統合により誕生したMS&ADインシュアランスグループホールディングス。保険という事業の価値を見つめ直し、レジリエントでサステナブルな社会の実現に取り組む。

藤井 史朗(ふじい・しろう)
MS&ADインシュアランスグループホールディングス 取締役 副社長執行役員 グループCFO
1979年大正海上火災保険(現三井住友海上火災保険)入社。同社常務執行役員を経て、2014年MS&ADインシュアランスグループホールディングス取締役専務執行役員に就任、2016年から現職。
グループCFOとして、総合企画部、広報・IR部、グループ事業支援部、海外生保事業部、IT企画部、国際管理部、監査部を担当(写真:木村 輝)

――ESG/SDGsの観点で最も力を入れていることは何ですか。

藤井 史朗(ふじい・しろう) 氏(以下、敬称略) 保険という業種の根底には、世の中で起きるリスクを分散しようという助け合いの精神があります。そのベースの上で5、6年前からディスカッションを重ね、価値創造ストーリーを作り上げてきました。

 保険ビジネスがサステナブルであるためには、社会が持続可能であることが必要です。世界の保険の普及率を表すS-curveという指標によると、一定の所得水準になると保険の普及率が上がっていく。貧困状態では家族や財産を守るために保険契約をするという発想が生まれず、保険という価値を提供するチャンスも生まれません。だからこそSDGsに取り組む意味があると考え、「レジリエント」と「サステナブル」の2つをキーワードに設定し、SDGsを“道標”として中期経営計画「Vision 2021」の中心に位置づけました。

■ MS&ADの価値創造ストーリー
図版提供:MS&ADインシュアランスグループホールディングス
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――ESGにどのように取り組んでいるか、教えてください。

藤井 E、S、Gのそれぞれに以前から取り組んできましたが、環境問題は業務が自然災害と関係している性質上、強く意識していました。地球温暖化問題をはじめ様々な取り組みを展開してきた経緯があり、グループとしての知見も蓄積しています。Sは、業務をグローバル展開していることもあり、サプライチェーンを含めた人権基本方針を策定しました。Gの部分では、経営統合において意思決定の透明性を確保するために早くから社外取締役を導入し、多様性促進に向けて女性の社外役員も積極的に登用してきました。

――社内にESG/SDGsの活動を普及するためにどのような施策を実施していますか。

藤井 経営側がSDGsやESGの重要性を掲げても、社員が理解し実感しないと何も進みません。2015年に発行を始めた統合レポートは社員が読んで理解しやすいように工夫し、SDGsに関する勉強会の開催や漫画冊子の作成などで周知に努めました。SDGsバッジも全社員に配布しています。バッジを着けていると、お客様が興味を示しますからその意味を説明しないといけません。社員も勉強を重ねることで、SDGsの話ができるようになっています。