世界の動きに先駆ける

――現在の中期経営計画は2018年度までです。次期中期経営計画ではどのようなビジョンをお持ちでしょうか。

十倉 技術革新を通じて世の中にソリューションを提供し、持続可能な社会と、持続可能な組織をつくる。この経営理念や目指すべき姿は、どんなに時代が変わっても不変です。

 先ほどお話したように当社はモノづくり企業ですから、勝負のリソースは技術。革新的技術で新しい価値を生み出すことに注力していきます。一方、変わるべきところとして、次期中期経営計画では革新的なソリューションを生み出すスピード感をさらに高める必要があると考えています。

――そんな中、御社は主要国の財務・金融当局が参加する金融安定理事会(FSB)が設置したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に支持を表明するとともに、SBT(科学に整合する削減目標)イニシアチブに対し、削減目標の設定を約束しました。なぜ、住友化学が率先して手を挙げるのか、理由を教えてください。

十倉 当社はこれまで統合報告書などを通じて非財務情報の開示を推進してきました。TCFDによる「気候変動に関する情報開示を促進する提言」は世界的には知名度は高いのですが、日本ではまだまだ。そのようななかで当社が日本企業の中では先頭を切って提言の支持を表明しました。今後は順次、気候変動問題をはじめとするESGに配慮した経営戦略など、提言が求める情報開示を進めます。

 SBTは、気候変動による世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃未満に抑える目標を設定し、温室効果ガス削減の取り組みを推進するイニシアティブです。

 当社はこの2℃目標に貢献する自主的な削減目標を設定すると表明しました。今後、準備が整い次第、目標を設定して公表します。投資家に当社の気候変動の解決に向けた姿勢を理解していただくきっかけにもなればと思います。

 こうした取り組みも、最初にお話した住友化学の事業の始まりから考えればまったく違和感のないものです。今後も統合報告書での開示や、様々な対話の機会を通じて、投資家、そして社会に伝えていきます。