新スローガン「Oil&New」

――新中計では「Oil&New」という新しいスローガンを打ち出しています。「Oil」は本業の石油のことだと思いますが、「New」の部分ではどういった取り組みを進めていくのでしょうか。また、化石燃料に関する世界的なトレンドをどう見ていますか。

桐山 脱化石燃料の流れは当然進んでいくと見ています。化石燃料にも2種類あり、例えば火力発電所などの燃料のように単純にエネルギーを取るために使われるものと、自動車の内燃機関やジェットエンジンなど代替が難しい用途に使われるものに分かれます。

 このうち前者の、燃やしてエネルギーを取るだけの用途は代替が利くので、今後は確実に減っていくでしょう。当社としてもその用途は減らしていきます。

 一方、自動車、航空機、船の燃料など、代替が利かないところはまだ残っていくと考えています。将来的に電気自動車に置き換わると自動車向けは減っていくわけですが、ジェットエンジンは完全に電気にするわけにはいきません。こういった代替が利かないものについては、燃費をよくする方向に進んでいくと考えています。「Oil」はトレンドとしては縮小していくでしょうが、このように2つの方向性を想定し、時代に合わせて対応していかなければなりません。

 エネルギーとしての石油需要が減少していきますので、一気に再生可能エネルギーまで進むべきだという議論が社内で生まれました。それが「New」の分野です。新中計で打ち出したように、当社としては風力発電事業に力を入れていきます。

 風力発電も拡大していきますが、とりわけ洋上風力発電には積極的に投資します。実際に、秋田港・能代港の港湾海域でのプロジェクトに参画し、事業の可能性について検討を進めています。陸上風力発電はかなり飽和している状態で、適した土地も少なくなっていますが、洋上風力発電は将来の可能性がきわめて高い。新中計でも洋上風力発電をさらに強化していく考えです。

――風力発電事業を始めたきっかけと、洋上風力発電のメリットや課題、今後の見通しについて教えてください。

■ エコパワーの経常利益と発電容量
度会ウィンドファーム(三重県)。14機の風車で2万8000kWの電力を提供する(上写真)
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桐山 エコ・パワーという国内初の風力発電専門会社を、2010年にグループ企業化しました。その頃すでに“環境のコスモ”といわれていましたし、ビジネスとの相性がいいということで買収に乗り出したわけです。その後、FIT(固定価格買取制度)が風力発電にも適用されるなど、時代の流れが合い、収益も上がるようになりました。

 洋上風力発電には、今後5年間で約930億円を投資する計画になっています。洋上は陸上に比べると大規模構造物を容易に導入できます。また、陸上風力発電の出力は2メガワット程度が限界ですが、海外の洋上風力発電ではその5倍の10メガワットクラスが実現しています。

■ 風力発電によるCO2排出削減の推移

 洋上風力発電は新規事業ですが、ヨーロッパではすでに一般的な技術として浸透しています。一方日本は法整備が進んでいませんし、洋上に施設を設置するための基地となる港湾設備もまだありません。現在、国としても再生可能エネルギーを中核エネルギーとして位置づけ、いま法整備も含めて細かなところを詰めている段階です。今後様々な整備が進めば、ヨーロッパと同様に普及するのではないかと考えています。

――風力発電以外の再生可能エネルギーも検討していますか。

桐山 例えばバイオマスなど、装置産業の視点でアプローチしやすいものについては今後の検討課題だと考えています。将来的には再生可能エネルギー事業で200億円程度の利益を目指しており、それに向けて努力しているところです。

――CSR中計ではCO2削減も大きな目標として打ち出しています。

桐山 「長期環境ビジョン2030」を策定し、CSR中計の最終年度である2022年度にCO2削減目標を2013年度比マイナス16%と設定しました。これは製油所の省エネ活動で純粋にCO2を削減するものに加えて、風力発電の推進による削減効果もカウントした数字です。風力発電のように新しい事業も、本業での省エネも進めていくという、まさに「Oil&New」の二本柱で考えています。

――その本業での省エネに関わる部分ですが、製油所では省エネに向けたイノベーションが行われているのでしょうか。

桐山 省エネ技術自体これからも発達していきますし、それ以外にも、油を使っているところをガスに置き換えていく、ITやビッグデータを活用して無駄をなくすなど、省エネ追求の余地はまだまだあります。製油所は規模が大きな施設なので一気に進めるのは難しい部分もありますが、それだけに効果は大きい。IT活用とビッグデータ解析で最適な省エネ施策を推進していくという方法は、すでに具体的な案件として実用化もしています。