サプライチェーンの取り組み

――新中計には「ESGの観点に基づく活動をグループおよび取引先を含むサプライチェーン全体で推進」するという文言があります。これはどのような問題意識で進めているのでしょうか。

「1人当たり1800時間労働目指したい」

桐山 そもそも当社は最初の環境中計からグリーン購入を打ち出しており、それを今後も拡大していくという考えです。SDGs実現に貢献するためサプライチェーン全体の評価のハードルを上げ、当社の要求に合致した企業と取引を進めていきます。当社では以前から、環境だけでなく、海外の児童労働の問題なども含め、サプライチェーンを通じてESGにしっかりと取り組んでいただけるよう働きかけてきましたが、その要求の精度がさらに上がったということです

――世界の代表的なESG投資インデックスの一つである「FTSE4Good Developed Index」に、2003年、日本の石油会社として初めて採用され、その後も16年連続で採用されています。2017年度は「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」が新たにESG投資指数として設定した「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄にもなりました。どのような取り組みが評価されたとお考えですか。

桐山 最初に環境中計を作ったのが2002年ですから、翌年すぐに選ばれているわけですね。当社は宇宙(コスモ)という名前を持つ会社で、とりわけ環境には力を入れてきました。環境を中心にESGの取り組みを地道に進めてきたことが、長年にわたって評価されている理由だと思います。SDGsについても同様で、当社としては以前からの取り組みに、周囲が追いついてきた印象ですね。

総労働時間の削減に注力

――ESGの「S」についてですが、「コスモレポート2018」で、働き方改革やダイバーシティの推進を強調されています。具体的な取り組みや成果について教えてください。

桐山 働き方改革は前社長の時代から積極的に進めており、IT化、業務でのAI活用、RPAの導入、業務改革、BPOなどを推進しています。例えば、自宅も含め場所を選ばず仕事ができるように、ITとネットワーク環境を整備しています。また、仕事量を減らすために会社全体の業務を見直し、標準化するためのチームを立ち上げました。

■ 総労働時間の推移
※2022年度は所定労働時間の平均(日勤者1,811時間、交代勤務者1,826時間)を目指す
■ 採用女性比率
「育児と仕事の両立セミナー」など様々な施策を実施し、高い育児休職復職率を実現(2017年)
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 実際に成果も出ていまして、1人当たりの総労働時間は2017年度に1890時間を切りました。今後は1800時間を目指していきます。有給休暇の平均取得日数も2013年度以降毎年増えています。フレキシブルな働き方の実現はもちろん、女性活躍という視点でも、まずは労働時間の短縮が必要だと考えています。

 ダイバーシティの点で見ると、当社は女性の採用比率3割を目指しています。当社の特徴として転職者が多いので、そもそも社風がフラットであり、多様化も進んでいます。ダイバーシティをさらに促進するため、トップからマネージャー層に対する指示を積極的に出しています。

――ESG情報については異なる部門のメンバーで構成された組織横断的な「情報公開委員会」を設置し、開示すべき情報を確認・検討しているとのことですが、設置した理由と成果を教えてください。

桐山 情報公開委員会は2015年に設置しました。グループ各社の非財務情報を持つ部署が集まり、情報を共有し情報公開の方針を決めていく組織です。

 従来、ESG情報はCSR統括部グループ各社が収集していたのですが、横断的に発信する財務情報とは異なり、非財務情報は担当者の中でも重要度や優先度を判断しにくいという声がありました。そこで、グループとしての一元管理を目指し、設置したのがこの委員会です。結果的に意識改革につながり、ESG情報がスムーズに集まるようになったと評価しています。