相馬 隆宏

花王はアブラヤシの搾りかすを原料にした衣料用洗剤を開発した。洗浄力の高さに加え、持続可能な点を売りに市場シェアの拡大を狙う。

 「花王史上最高の洗浄基剤」──。2019年1月23日、衣料用洗剤の新商品発表の場で花王の澤田道隆社長はこう力を込めた。

 4月1日に発売する「アタック ZERO(ゼロ)」は、「落ちにくい汚れ」「生乾き臭」「洗剤残り」を限りなくゼロにするという高い洗浄力が売りだ。主成分の洗浄基剤(界面活性剤)「バイオ IOS」は、花王が10年以上かけて開発したもの。汚れだけをしっかり落とし、かつ汚れをつきにくくする。そのため、洗濯を繰り返すほどよりきれいになり、衣類の元の色が蘇るという。

衣料用洗剤の新商品「アタック ZERO(ゼロ)」を披露する花王の澤田道隆社長。「ゼロ洗浄」と「サステナブル」の2つが特徴という

 同社の調査によると、洗濯に満足している消費者はわずか9%にとどまる。洗濯しても、汚れや臭い、菌が残っていると思う消費者の不満を解消し、売り上げを伸ばす。 

 アタックゼロの価格は400gで350円前後から。初年度に300億円の売り上げを目指す。これは現行のアタックNeo(ネオ)の1.5倍に当たる。アタックゼロの投入により、衣料用洗剤市場での花王のシェアを40%から45%に引き上げる考えだ。

藻類から洗剤をつくる

 洗浄力と並ぶもう1つの特徴が、持続可能性である。今後、世界的な人口増加で界面活性剤の使用量がさらに増えると予想される。バイオIOSは、アブラヤシの実からパーム油を取り出す際の搾りかすを原料にしている。

 洗浄に不向きなためこれまで洗剤に使われることが少なかったが、抽出した油脂を洗浄に適した成分に転換することに成功した。今まで捨てられていたものを原料にすることで、安定調達の確保につながる。さらに、将来は藻類から抽出した油も活用する計画である。

 機能から見た持続可能性もある。洗剤が衣類にほとんど残らないので、柔軟剤などを投入した時により少ない量で効果を得られるという。すすぎの回数も減らせるので水使用量を減らせる。

 澤田社長は、「未来を切り開くサステナブルな洗浄基剤。(花王の)環境訴求商品を代表するアタックに応用するには最適だ」と話す。バイオ IOSは、衣料用洗剤以外の家庭で使う洗剤にも展開する予定だ。

 花王は、持続的成長に必要なESGを経営の根幹に据え、企業価値のさらなる向上を目指している。今回の新商品は、洗浄力と持続可能性を消費者や投資家などにどう訴えていくかが課題になる。