半澤 智

コード改訂で、政策保有株の縮減や後継者計画などに改革のメスが入った。「順守」を選ばず、「説明」によって投資家に訴求する企業も出ている。

 2018年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂を受けて、各社が12月末までに改訂コードに沿ったコーポレートガバナンス報告書を提出した。

「説明」選ぶ企業が倍増

 改訂コードは78の原則を設けており、「原則主義」と呼ぶ手法を採用している。企業が順守すべきガバナンスの原則は示すが実践は企業に任せるというもので、順守(コンプライ)しなければ説明(エクスプレイン)する「コンプライ・オア・エクスプレイン」を求めている。

 今回、改訂コードの原則を順守せず、あえて説明を選ぶ企業が増えた。宝印刷が日経平均株価採用の225社に対して「順守」と「説明」の状況を調べたところ、原則を1つ以上「説明」した企業は105社で、コード改訂前の53社から倍増した。

■ コーポレートガバナンス・コードの原則を順守しない企業数の推移
日経平均株価採用の225社のコーポレートガバナンス報告書を調査
(出所:宝印刷)

 「説明」を選ぶ企業が増えた理由は、改訂コードが企業に対して要求するガバナンスの水準が上がったことがある。

 例えば、改訂コードでは指名委員会や報酬委員会など独立した諮問委員会の設置を求めている。日本企業は、監査役会が取締役会を監視するケースが多く、社外取締役を中心とした委員会を設置する米国型のガバナンスの採用はハードルが高い。こうした企業の多くが、「今後、設置を検討する」などと記載した。

 三菱UFJ信託銀行の調べによると、諮問委員会の設置に対して、東証1部・2部上場企業の52.8%が「説明」を選択している。コード改訂前と比べて29.5ポイント上昇し、最も上昇率が高かった。

 政策保有株式の縮減計画や後継者計画の策定でも、「説明」を選んだ企業が多かった。これまで日本企業でなかなか取り組みが進まなかった部分に改革のメスが入っている。

 ただし、具体的な説明は避け、形式的な記載にとどめているケースも多い。各社で似通った表現も多く、横並び意識もまだ根強い。アセットマネジメントOneの運用本部で責任投資部長を務める寺沢徹氏は、「同じ業界の企業を横並びにすると違いが浮き彫りになる。言行一致かどうか、今後、対話の場で確かめる」と言う。