高木 邦子

2019年、固定価格買い取り制度(FIT)の期限が切れる「卒FIT」住宅は53万に上る。積水化学工業は、「卒FIT」電力を活用して顧客への販売や自社活用を進める。

 積水化学工業は2019年9月から、家庭用太陽光発電の余剰電力の売買サービス「スマートハイムでんき」を開始する。固定価格買い取り制度(FIT)の適用が期限切れになる「卒FIT」の電力を活用する。

 同社の住宅ブランド「セキスイハイム」のうち、太陽光発電設備と蓄電池を備えた住宅の余剰電力を1kWh当たり12円で買い取る。蓄電池を備えていない住宅の買い取り価格は同9円とした。

 買い取った電力は、発電設備を持たないセキスイハイムの住宅オーナーや、積水化学グループの工場や事業所などに販売する。料金は明らかにしていないが、大手電力会社の電力料金より安い価格を設定するとしている。

 同社は2018年6月にSBT(科学に整合する温室効果ガスの排出削減目標)認定を取得しており、顧客から買い取った太陽光発電の電力を住宅生産に使用することで、目標達成に役立てる狙いもある。事業所および工場の温室効果ガス排出量を2030年度までに2013年度比26%削減するという目標の達成に、新サービスが貢献することを期待している。

 2019年11月と12月だけで卒FITの住宅用太陽光発電は約53万件に上る。2023年までに約165万件、670万kWが対象になる見込みだ(下の図)。同社執行役員R&Dセンター所長の小笠眞男氏は、「当社のセキスイハイムだけでも、2019年約6万棟のオーナーが卒FITの対象となる。蓄電池の設置によってできるだけ電力の自給自足を促し、余剰電力が生じたら当社に販売してもらうように提案していく」と話す。

■ 「卒FIT」を迎える住宅用太陽光発電の推移(累積)
出所:資源エネルギー庁「住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応」

ユーザー獲得競争始まる

 卒FITで生じる余剰電力は、再エネ電力の供給に注力する電力小売事業者や再エネ電力の大口需要家などの間で、既に獲得競争が始まっている。2018年11月に、イオンが中部電力と組み、中部地方の卒FIT世帯を対象に、余剰電力をイオンに販売した際にポイントを受け取れるサービスを発表した。住宅メーカーでは積水ハウスが1月に、卒FITの顧客から1kWh当たり11円で余剰電力を買い取ると発表している。

 積水化学は将来的に、住宅の蓄電池にためられた電力を遠隔制御して住宅間で電力を融通したり、電力を束ねて電力会社の調整電力として活用したりするバーチャル・パワー・プラント(VPP)のサービスに発展させたい考えだ。