半澤 智

効率的な収集ルートの指示や、運行計画の作成を支援する。排出事業者と収集運搬業者のマッチングなどにも挑戦する。

 小田急電鉄は2019年3月5日、サーキュラーエコノミー事業の立ち上げに向け、米ルビコン・グローバルと基本合意書を締結した。小田急沿線エリアの排出事業者や収集運搬業者などと連携し、2019年度内に新サービスの実証実験に着手する。

 米ルビコンは、IT(情報技術)を活用して廃棄物の排出や運搬業務を支援する新興企業だ。欧米のスーパーマーケット・チェーンや自治体などを顧客に抱え、非上場でありながら時価総額10億ドル以上の「ユニコーン企業」として注目されている。実証実験では、小田急電鉄の沿線地域において米ルビコンのシステムの有用性を確認する。

 実証実験ではまず、廃棄物の収集運搬業者向けにサービスを提供する。米ルビコンのシステムを使い、収集に最適なルートを指示したり、収集車の運行計画や人員配置といった作業を支援したりする予定だ。廃棄物の収集を効率化するには、廃棄物の収集場所、道路の混雑具合、利用できる収集車の数などの変化に逐次対応する必要がある。これまで人手で実施していた業務を自動化することで業務負荷を軽減し、ドライバー不足にも役立てる。

 排出事業者に向けたサービスも計画している。排出事業者に、遅延なく収集できる優良な事業者や、リサイクル率の向上につながる事業者を紹介する。沿線で新たに事業を開始しようと考える事業者に地域の優良な事業者を紹介することによって、地域の静脈産業を強化する。これは、排出事業者と収集運搬業者をマッチングする「廃棄物版のウーバー」といえそうだ。

 一般廃棄物の収集や処理を手掛ける自治体にも参加を呼びかける。廃棄物の収集運搬車にセンサーなどを設置して、道路の亀裂を発見したり大気汚染情報を収集したりするなど、自治体の業務支援につながるサービスの提供を計画している。

■ 小田急電鉄が想定する新サービスの概要
排出事業者、収集運搬業者、地方自治体にサービスを提供する。今年度内に小田急沿線エリアで実証実験を開始する
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資源循環を地域ビジネスに

 小田急沿線エリアは27市区町にまたがっており、もともと沿線自治体との結びつきは強い。鉄道やバスの運行計画をつくるノウハウなども活用できることから、相乗効果を発揮できると判断した。経営戦略部長の久富雅史氏は、「資源循環を鉄道と不動産に次ぐ地域に役立つビジネスに育てたい」と意気込む。

 同社は2018年から、事業アイデアを公募する社内制度を開始し、社会課題の解決やSDGs(持続可能な開発目標)の達成を目的とした新事業の創出に取り組んでいる。この事業はその一環だ。企業による社会課題解決の取り組みが、岩盤規制と言われる廃棄物ビジネスにメスを入れようとしている。