話題の社会課題に質問集中

 ESG関連の株主質問では、世間で話題になっている社会課題に関する質問が目立った。高齢者による自動車事故、女性の働きやすさ改革、プラスチックごみ対策などだ。

 高齢者による運転事故が相次いでいるのを受け、トヨタと日産の株主総会では、この問題に対してどのような対策を取っているのかという質問が相次いだ。両社とも、事故防止装置の装備予定の説明に追われた。

 育児休暇取得直後に夫が転勤を命じられたという体験談がSNSで「炎上」したり、ハイヒールの着用強制に反対する「#KuToo」というハッシュタグが広まるなど、育児支援や女性の働きやすさも社会問題となっている。オムロンの株主総会では、株主がこれらの件に触れ、会社側が取り組み状況を答えた。

 富士通では株主が、取締役に社内出身の女性がいないことについて疑問をぶつけた。田中達也社長(当時)は、執行役員に3人の女性がいることを説明して理解を求めた。

■ 「社会」に関する主な株主質問と会社回答
SDGs:持続可能な開発目標 AI:人工知能
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 環境面の社会問題として急浮上しているのが、プラスチックごみ問題である。ゲーム開発会社のカプコンでは、「プラスチックごみ対策は考えているか」という株主質問がぶつけられた。野村謙吉CFO(最高財務責任者)が、「パッケージの販売ではなく、ダウンロード販売に力を入れていく」と答えた。

 イオンは、2018年までは株主総会の参加者にペットボトルの飲料を渡していたが、2019年はそれを取りやめた。2019年は会場の一角に飲料スペースを設け、FSC認証の紙コップを使って飲み物を配布し、環境への取り組みをアピールした。

 株主や投資家は、社会課題を経営の大きなリスクと捉えている。企業は、ESGの取り組みとその説明がよりいっそう求められる。米国では、株主提案を通じて社会問題への対応を企業に促す動きが活発である。日本でもこうした動きが高まりそうだ。

■ 「環境」に関する主な株主質問と会社回答
CFO:最高財務責任者
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