斎藤 正一

2019年7月15〜19日、NY視察ツアーを実施した。米国のESG経営の最新動向を学んだ。

 7月15〜19日の5日間、ニューヨーク(NY)視察ツアーを実施した。視察にはフォーラム会員企業を中心に20人が参加。ツアー2日目は午前中に国連のガイドツアーに参加した後、国連のハイレベル政治フォーラムのサイドイベントとして開催した「日経SDGsフォーラムシンポジウム in NY」(日経BP、日本経済新聞社主催)を聴講した。同シンポでは、日本企業のESGやSDGs経営に関する取り組みを紹介した。

ハイレベル政治フォーラム開催中の国連本部

 3日目は、マンハッタンの南部にあるハンバーガーチェーン、シェイクシャック本社を訪問した。同社は2015年に東京にも出店した環境に配慮した食材の調達や店舗設計で知られる高級ハンバーガーチェーンだ。同じ年にNY市場に上場した後も、株価は高値を維持しており投資家の評価が高い企業として知られる。

シェイクシャック社では本店のシェフから食材選びの大切さについて説明を受けた

 グローバル・マーケティング担当のジャクリーン・ゴンザレス氏は、「国内外に出店するすべての店舗で、地域のコミュニティーと良い関係を保つように努力している。投資家には、社会に対して良いことをしている企業であると理解してもらうよう努力している」と目標にする企業像を明快に話していた。

 午後は、機関投資家と連携を取りながら企業活動の改善を促すNGOのICCRと、投資家にとって財務情報が有用性を失いつつあることを実証した『The End of Accounting』(「会計の終焉」、邦題は「会計の再生」)の共著者であるNY大学のバルーク・レブ教授を訪問した。

NY大学のレブ教授=写真中央は企業価値を測る新しいデータの必要性を訴えていた
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 人権問題に注力するICCRが多国籍企業の途上国で働く現地の労働者の権利保護の観点で「マルチステークホルダー(株主や顧客、地域社会などの多様な利害関係者)」、レブ教授が企業価値とは資産額そのものではなく、資産を使ってどれだけ顧客を満足させているかを計る「カスタマー・エクイティー・バリュー(顧客にとっての資産価値)」という言葉を使っていたのが印象に残った。

 どちらもまだ日本では広まっていないが、今後、キーワードになる言葉だろう。企業のESG経営が進むべき道を考えるうえで、気付きの多いツアーとなった。