相馬 隆宏

G20の開催に合わせて、大手企業が環境の長期ビジョンを相次いで打ち出した。海洋プラスチックごみ対策として、容器の「脱化石」が鮮明になってきた。

 主要20カ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合の開催で環境問題への関心が高まった2018年5〜6月、大手企業が相次いで挑戦的な環境の取り組みを発表した。その中で注目を集めたのは、2030年や2050年を目標とする長期ビジョンを打ち出したセブン&アイ・ホールディングスとサントリーホールディングスだ。

4分野で長期目標

 セブン&アイ・ホールディングスが2019年5月に発表した「グリーンチャレンジ2050」は、2050年までに達成する環境目標を掲げている。コーポレートコミュニケーション本部サステナビリティ推進部シニアオフィサーの釣流まゆみ執行役員は、「当社の株主は3分の1が海外の投資家。ESG投資が盛んになる中、海外の投資家の間では企業を評価する指標の約半分がESG関連のものになっている」と言う。

 グリーンチャレンジでは、コンビニエンスストアやスーパー、ファミリーレストランなどグループ企業の事業と関わりの大きい4つのテーマを選定した(下の表)。G20でも関心を集めた海洋プラスチックごみ(廃プラ)対策もその1つである。プラスチック対策として、オリジナル商品で使う容器は全てリサイクル素材など環境配慮型素材にする。

■ 「グリーンチャレンジ2050」の主な内容
(出所:セブン&アイ・ホールディングス)

 その一環として、日本コカ・コーラと協働し、セブン&アイグループの店頭で回収したペットボトルだけでリサイクルペットボトルを作る取り組みを開始した。6月には、リサイクル素材100%のペットボトルを採用したお茶を発売した。

 5月に食品ロス削減推進法が成立し、社会の関心が高まっている食品ロス対策も盛り込んでいる。売上高当たりの食品廃棄物の発生量を2050年に2013年度比75%削減する。

 既に、従来より長持ちする総菜やサラダを販売している。容器内の空気の成分を調整するなどして賞味期限を1日延ばした。薄いプラスチックフィルムで密閉する方式を採用しているため、プラスチック製の蓋で閉じる従来の容器と比べてプラスチックの使用量削減にもつながる。

リサイクル素材100%のペットボトルを採用したセブン&アイ・ホールディングスと日本コカ・コーラの共同企画商品(左)。容器の工夫などによって総菜やサラダの賞味期限を延ばした(右)
(写真:セブン&アイ・ホールディングス)

 目標を達成するため、グループ横断で取り組みを推進するチームを立ち上げた。4つのテーマごとに設けたチームのリーダーは、執行役員以上から選出するなど、本気度がうかがえる。

 「グリーンチャレンジ2050を発表してから、取引先などサプライチェーンに関わるいろんなところからたくさん声がかかるようになった。グループが1つになって取り組むことでイノベーションが生まれるのではと期待している」(釣流執行役員)