化石原料の使用をゼロに

 サントリーホールディングスは2019年5月、「プラスチック基本方針」を策定した。コーポレートサステナビリティ推進本部の内貴研二・専任部長は、「投資家や評価機関の目が厳しくなっている。企業の評価において海洋プラスチックごみ対策のウエートが大きくなっていると感じる」と話す。

■ 「プラスチック基本方針」の概要
■ 「プラスチック基本方針」の概要
(出所:サントリーホールディングス)

 目玉となる取り組みが、国内外で使用する全てのペットボトルをリサイクル素材か植物由来素材に切り替え、新たに使う化石原料の使用をゼロにすることだ。グループで中心的な役割を担うのは、清涼飲料の製造・販売を手掛けるサントリー食品インターナショナルである。現在、再生原料だけで作ったペットボトルを一部の飲料に採用している。

 2019年3月に、使用済みペットボトルから新品のペットボトルを作る「ボトル・トゥー・ボトル」リサイクル設備の増設を発表した。サントリーのリサイクルペットボトルの使用率は国内だけで約20%になるもようだ。植物由来原料も使うとはいえ、海外を含めて100%にするのは相当高いハードルと言える。

協栄産業と共同で開発した「ボトル・トゥー・ボトル」のリサイクル設備(左)。100%リサイクルペットボトルを採用した飲料(右)<br><span class="fontSizeS">(写真:サントリーホールディングス(右の飲料))</span>
協栄産業と共同で開発した「ボトル・トゥー・ボトル」のリサイクル設備(左)。100%リサイクルペットボトルを採用した飲料(右)
(写真:サントリーホールディングス(右の飲料))

 内貴・専任部長は、「技術的には達成できなくはない。問題は、海外で日本のようにリサイクルする仕組みをつくれるかどうかだ」と話す。欧米ではペットボトルのリサイクル率が日本と比べて低い。廃プラの主要な排出源とされる東南アジアについては、回収インフラが十分に整っていないとされる。

 ペットボトルのリサイクルを促進するには、法制度の整備に加え、自治体や消費者の協力が欠かせず、1社だけで解決できる話ではない。サントリーは、廃プラ対策に取り組む企業連合「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」などを通して、海外にインフラづくりなどを働きかける考えだ。

 先行きが見通しにくい今、2030年や2050年の目標は達成できるかどうかの確証はない。だが、達成に向けて今から何をしなければいけないのかを考え取り組むことが、イノベーションの創出を促し、企業の競争力強化につながるはずだ。