相馬 隆宏

日本は、企業の役員や管理職に占める女性の割合が世界と比べて低い。企業は投資家や政府などと協働し、女性役員比率の向上に乗り出した。

30%クラブジャパンの初代会長に就任した資生堂の魚谷雅彦社長兼CEO(中央)
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 女性役員の割合を高めることを目的に英国で創設された「30%クラブ」が2019年5月、日本で活動を開始した。7月に30%クラブジャパンの初代会長に就任した資生堂の魚谷雅彦社長兼CEO(最高経営責任者)は、「日本のジェンダーギャップの問題は深刻だ。この問題に取り組み多様性を高めることが、企業に持続的な成長をもたらす」と語った。

女性役員はG7で最下位

 安倍政権は、成長戦略の一環として女性の活躍を推進している。2016年に女性活躍推進法を施行し、女性の就業者がこの6年間で約288万人増えるなど一定の成果がある一方で、世界と比べると男女格差はまだ大きい。男女格差の度合いを示す世界経済フォーラムのジェンダー・ギャップ指数では、日本は149カ国中110位だ。

 日本の管理職に占める女性の割合は13.2%と、43.8%の米国や36%の英国と比べて大きく見劣りする。取締役に締める割合は3.4%とさらに低く、主要7カ国(G7)中最下位となっている。

■ 日本の女性取締役の比率はG7で最下位
出所:ILO(国際労働機関)

 30%クラブジャパンは、企業や機関投資家、政府、メディアなどが協働し、女性役員の割合を底上げする。TOPIX(東証株価指数)100に選定されている企業の役員に占める女性の割合を2020年までに10%、2030年までに30%にすることを目指す。2018年の割合は7.6%で、女性役員がゼロという企業も25社ある。目標達成にはてこ入れが必要だ。

 女性の役員や管理職の増加が求められている背景には、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大がある。取締役会の多様性(ダイバーシティ)を高めることが、経営執行の監督やリスク管理の強化につながり、企業価値にプラスの影響があると考える投資家は多い。

 内閣府が2018年、スチュワードシップ・コードに賛同した機関投資家などを対象に実施した調査によると、約7割が「業績に長期的に影響がある」という理由で女性活躍に関する情報を投資判断に活用している。

 業績にプラスの影響があることを示すデータもある。例えば、米マッキンゼー・アンド・カンパニーが2018年公表したリポートでは、経営陣に女性が多い企業の方が少ない企業に比べて本業の収益性が高いという結果が出ている。

■ 投資家が女性の活躍を重視する理由
 
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■ 女性役員の比率が財務に影響
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内閣府の「ESG投資における女性活躍情報の活用状況に関する調査研究 アンケート調査」の結果(左)(出所:内閣府)
2018年8〜9月に機関投資家など227機関を対象に実施した(回答は119機関)。米マッキンゼー・アンド・カンパニーは、経営陣に占める女性の割合が高い上位25%の企業と下位25%の企業とで本業の収益性を比較した(右)(出所:マッキンゼー・アンド・カンパニー)