女性役員ゼロに「ノー」

 女性役員の選任に対する投資家の要請も強まっている。資産運用大手の米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、女性取締役が1人もいない場合、会長や社長の選任議案に反対票を投じている。議決権行使助言会社の米グラスルイスは、東証1部上場企業100社に女性役員の選任を要請している。

 30%クラブジャパンに参加する三井住友トラスト・アセットマネジメントは他の機関投資家と共に、企業に女性役員の登用を働きかける。同社チーフ・スチュワードシップ・オフィサーの堀井浩之執行役員は、「企業のガバナンス改革で女性取締役比率の向上は非常に重要なテーマだ。他の機関投資家と協働することで影響力が増す」と言う。

 投資家からの要請が強まる中、企業側も女性役員の登用へ動き出した。30%クラブジャパンには、会長に就いた資生堂の魚谷社長の他、味の素の西井孝明社長やアステラス製薬の畑中好彦会長、キリンホールディングスの磯崎功典社長といったTOPIX100企業の経営トップをはじめ37人が参加している(2019年7月17日時点)。

 女性役員を増やすには、まず候補となる女性管理職を育てる必要がある。仕事と家庭の両立が困難で、昇進したくないという女性も少なくないため、意識改革から始めることが大切だろう。

 女性活躍に早くから積極的に取り組んできた資生堂では、部長級の社員に自分の後継者を3人選んで育成するよう求めている。3人のうち、女性を少なくとも1人、できれば2人選んでもらうという。魚谷社長は、「最も重要なのは、経営トップだ。失敗談を含めてこれまでの経験を他社と共有していきたい」と言う。

 2019年6月に大阪で開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、女性のエンパワーメントについて各国が議論。女性の労働参画や女子の教育支援、女性起業家支援を加速させることを表明した。

 世界の国々が女性の活躍を推進する上で企業が果たす役割は大きい。女性役員や管理職の数を単に増やすのではなく、企業価値の向上に資する実効力を伴った改革が重要なのは言うまでもない。